妊娠力をより高めるための漢方薬活用方法

2023/01/23

妊娠と「気」の関係

まず、最初に「気」とは?これは漢方では「気力・体力・精力」のもとになり生命活動を支えるエネルギーのことと解釈しています。「気」とは体と心を元気に保つだけでなく子宮や卵巣などの臓器の働きを高める、血液や栄養を体のそれぞれの場所に運搬する、体を温める、などさまざまな働きをしています。
この「気」が十分にあり、体のすみずみまでめぐっていると、卵巣機能が高まり、質のいい卵が育ち、排卵、着床もスムーズにすすみます。妊娠中の不正出血や流産の心配も少なくなります。
精巣の働きも高めるので精子の運動率、働きもアップします。
男性にとってもこの「気」はとても重要な意味をもっています。
また、この「気」とホルモンのバランスは整え、体を妊娠しやすい環境にする「血」はとても密接な関係性にあります。血をつくり、体内に巡らせるためにも「気」の存在は無視できないのです。妊娠力を高めるには「気」の存在が不可欠なのです。
つまり、「気」を補いめぐりをよくする漢方薬、そして生活習慣の改善が大切なアプローチとなります。

不妊の原因になる「気」のトラブル

気のトラブルの代表的なものが「気滞」と「気虚」おなかの張りや気力の低下、疲労感がなどがあるときには「気」のトラブルが起こっている可能性が高いので下のチェック項目で診断してみましょう。

気が不足している「気虚」

  • 経血の色が薄い
  • だらだらと生理が続く
  • 疲れやすい
  • 下痢しやすい
  • 食後に眠くなる
  • 食が細い
  • 汗をかきやすい
  • 風邪をひきやすい
  • むくみやすい
  • 冷え性
  • 流産経験あり
  • 体温が低めで36度以下になることもある
  • 低体温が20日以上続く
  • 高温期が10日未満

気の巡りが悪い「気滞」

  • 生理の周期が不安定
  • 生理痛がひどいときとそうでもないときがある
  • 経血の中に米粒大のかたまりがまじる
  • 生理中にPMS(おなかの張り、いらいら、肩こり、頭痛など)が起こりやすい
  • 胃もたれしやすい
  • 乳房が張りやすく、痛むこともある
  • ちょっとしたことで怒りを感じたりイライラする
  • ストレスが多く情緒不安定
  • 基礎体温の変動が0.2度以上ある
  • 低体温~高体温への移行に2日以上かかる

妊娠力アップのための漢方薬

気虚タイプ

冷たいものは控える

気虚になると、冷え性や胃腸トラブルなどが起きやすくなります。冷たいもの、消化の悪いモノ、脂っこいモノを避け、米、いも類、赤みの肉や魚などを積極的に食べるようにします。食べ過ぎもNGです。腹八分目を習慣にします。無理なダイエットは「気」を消耗して「気虚」をさらに悪化させます。BMIは19を保つようにします。

激しい運動よりもウォーキングがおすすめ

ジョギングなどの激しい運動は体力を消耗させるので「気虚」をさらに悪化させる原因になります。ウォーキングやストレッチがおすすめです。呼吸を取り入れたヨガなどもおすすめです。
あとは、お笑いなどを見てよく笑うことも二重丸です。
漢方薬は、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が定番です。

気滞タイプ

気分転換を上手にしてストレスをためない

仕事や家庭の人間関係などで強いストレスを感じていると「気」のめぐりが悪くなり気滞をまねきます。短時間でもいいので好きな音楽を聞いたり、好きなTVを見る時間を確保しましょう。

香りのいいものを食べる

大根やしそ、たまねぎ、しょうが、セロリ、春菊など香りの強い食材には「気」をめぐらせる気滞を改善する効果があります。毎日の食事に取り入れるように意識します。脂っこいもの、甘いものは気を滞らせてしまうので控えます。
定番の漢方薬は、加味逍遥散(かみしょうようさん)です。