女性特有の症状」カテゴリーアーカイブ

生理痛

女性の半数が経験する月経前症候群には漢方薬で対処
月経(生理)に伴う不快な症状の代表的なものとして

  • 下腹部腹痛
  • 腰痛
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 脱力感

などの身体症状と

  • イライラ
  • 憂鬱

などの精神症状があります。こういった症状は生理の1週間ぐらい前から起こり、生理とともにこれらの症状がなくなるのを「月経前症候群」といい、生理期間中にこれらの症状がみられるものを「月経困難症」といいます。月経前症候群については、程度の差はあれ、じつに女性の50%以上が経験しているといわれます。
身体症状としては

  • 下腹部痛
  • 便秘
  • 下痢
  • 食欲増進
  • 食欲減退

などがみられ、精神症状としては

  • 焦燥感
  • 不安感
  • 抑うつ

などがあります。

月経困難症には、子宮内膜症や子宮筋腫などの器質的な病気によって起こる器質性月経困難症と、子宮に器質的病気がないのに生理痛が非常に強く、寝込んでしまったり気を失ってしまうほどの症状の機能性月経困難症というものがあります。まずは、病院で器質的な疾患がないかどうかの診断をすることが大切です。

漢方では上記のような症状には桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を基本として使用しますが、駆瘀血効果があり、さらに「気」をめぐらせる漢方薬がベストです。
漢方薬は、子宮内膜症などの器質的な疾患を持たない機能性月経困難症に対し、特に有効にはたらきます。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)で子宮の強すぎる収縮(生理痛の痛みの原因)を改善させる
なぜ生理痛が起こるのかというと、一番の原因は子宮の収縮にあります。子宮はプロスタグラディンという物質によって収縮し、それによって生理の血液を外に出して子宮をきれいにし、次の周期に備えるわけです。もし子宮が収縮しなければ、中の血液は外に出ることができずにつまってしまい、血管がふくらんだままになってしまいます。出血が止まるのも子宮の収縮が関係しています。

子宮内に筋腫のような障害物があると、収縮できないため、出血が止まらず生理がだらだらと続くことになり、いつ始まりいつ終わったのかがわからなくなってしまうのです。またギュッと収縮すること自体は子宮にとってはよいことなのですが、その収縮する力が強すぎる場合にその力が生理痛となってしまうのです。これが月経困難症の一番多い症状です。
そういった人には西洋薬では子宮の筋肉を和らげるブスコパンという薬を使ったり、痛みそのものを和らげる鎮痛剤を使ったりしますがこれは対処療法にすぎません。

そこで根治的治療を目指すのであれば、やはり「漢方薬」ということになります。
子宮の筋肉の強すぎる収縮をダイレクトに少し和らげるには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が効きます。これは、いわゆる「こむらがえり」に使われる薬ですから、強い収縮による痛みに効果を発揮します。生理の2~3日前から飲み始め、生理痛のひどい時にだけ頓服のような形で使うとよいでしょう。生理不順で2~3日前がわかりにくい場合には生理がはじまった日から飲むとよいです。

駆瘀血(くおけつ)剤を常用することで瘀血(おけつ)を取り除く
生理痛には子宮が収縮したときの痛みもありますが、生理前は血が溜まっている状態で、それが瘀血(おけつ)なのです。普段から瘀血(おけつ)を取り除くようにしておけば、子宮の収縮が起こっても血液が周囲にたまっていないので、生理の出血も少量で済みますし、子宮の収縮が強くならなくても子宮の中がきれいになるのです。

瘀血(おけつ)をとる薬を駆瘀血(くおけつ)剤といい、中でも婦人科でよく使われるスタンダードな漢方薬は、次の3つです。

この3つには全て瘀血(おけつ)をとる成分が含まれていますから、普段から瘀血(おけつ)を取るために飲んでいると生理痛に効果があります。普段から瘀血(おけつ)をとるために服用していても生理がはじまって痛みがある場合には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を服用して筋肉の収縮をとめるようにすると痛みに大変効果があります。
こうして体質改善をしていくと寝込んでしまうほどの生理痛は快方に向かうでしょう。
痛みによって仕事や家事・育児などに支障がでてしまうような月経困難症は、古くから漢方薬治療の対象になっているのです。

生理痛の場合の漢方薬処方ガイド
月経前症候群→桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
月経困難症→芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
予防→桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)加味逍遥散(かみしょうようさん)

冷え・のぼせ

西洋医学では「これ!」といった治療法が確立されていない冷えやのぼせは漢方薬で

足が冷えてよく眠れない、冷房が効きすぎている部屋でだるくなる、手足などの末梢は冷えているのに顔はのぼせる、などとといった症状は女性に多くみられる症状です。ただ、冷え性というのは女性特有の症状のようにいわれますが、最近では男性にも増えてきています。

このように体が冷えることを一般的には「冷え性」といいますが、西洋医学ではこれを特に病気として扱うことはありません。特別な特効薬があるわけではなく、血行不良を改善する末梢循環改善薬やビタミン剤を処方する程度でしょう。
そのときだけ若干症状が改善されたように感じますが、根本的に改善することは難しいのが現状です。
ところが、冷え性は本人にとっては日常生活にまで支障がでるほどつらいので死活問題となります。こういった時に改善するのに適しているのが「漢方薬」です。
漢方の世界では「冷え性」は治療の対象として認識しているので、冷えで悩む人は漢方薬による治療を考えるといいでしょう。
冷えをそのまま放置しておくと、頭痛、腰痛、生理痛などといった症状を誘発してしまうのです。

冷えやのぼせは気逆(きぎゃく)や瘀血(おけつ)によって起こる症状

冷え性の原因を血行不良ととらえる考え方はごく一般的ですが、漢方医学では、

  • 食生活の乱れ
  • 生活環境
  • ストレス
  • ホルモン

などによる自律神経の乱れや新陳代謝の低下、胃腸機能の低下など、多岐にわたって原因をリストアップします。
原因はひとつでなく複合的に及んでいるケースも多々あります。

冷えにはいくつかのパターンがあります。
全身が冷たいと感じる人…新陳代謝の低下、胃腸機能の低下
むくみなどの冷えを感じる人…水分代謝異常
冷房などが原因で冷えを感じる人…悪風

このような症状や、手足の先が極端に冷えたり、顔がのぼせる人は瘀血(おけつ)によって末梢の血液循環が悪化しているものと考えられます。
冷えやのぼせの症状を漢方医学では「気逆」と考えます。本来、気は上から下に流れますが、冷えてのぼせる場合には、気の巡り方が逆になっているのです。
さらに瘀血(おけつ)が冷え、結果、冷えに繋がっているのです。たいていは、冷えとのぼせは同時に症状としてあらわれますから、のぼせる人は下半身が冷えているのです。
女性の場合は、もともと瘀血(おけつ)があったり気のめぐりが悪い人は冷え、のぼせの症状が出やすくなっています。

冷え・のぼせに効果的な漢方薬

治療は証によって異なりますが、冷え性で体格がよく体力のある実証の人には駆瘀血(おけつ)剤の桃核承気湯(とうかくじょうきとう)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを処方します。

特に手足など末梢に強い冷えのある場合には当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) が有効で、更年期などで頭痛やイライラ、肩こり、動悸、発汗、不眠などの症状があるときには加味逍遥散(かみしょうようさん)が有効です。

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更年期障害

動悸、不眠、イライラ、不安感、憂鬱などの中高年独特の不定愁訴には漢方が有効

一般的には、女性は40代半ばくらいから卵巣機能が衰えてきます。すると、心や体に不快な症状があらわれることがあり、これを更年期障害といいます。更年期は、はじまる時期もその期間も人によって個人差がありますが、現在は閉経の平均年齢が50歳くらいですので、時期的にはだいたいその数年前から数年後くらいまで、となります。

もちろん、ほとんど症状のない人もいます。実際には、「少しのぼせるな~」という程度で更年期が終わってしまう人が多いといい、病院に行かなくてはならない程の更年期障害の人は全体の30%くらいだといわれています。

では、こういった差がでるのは、なぜでしょう?これは、もって生まれた気質や性格が影響しているのです。基本的にポジティブ思考、プラス思考の人は更年期障害になりにくいという調査報告もあります。元来、不定愁訴の多い人に更年期が加わると症状が重くなるケースが多いようです。

反対に、もともとあまりいろんなことを気にしないタイプのポジティブ思考の人の場合は、症状が出にくいようです。もちろん、環境などの影響も大きいです。更年期を迎える時期は、子供の受験だったり、親の病気、夫のリストラなど様々な不安要素が出てきます。
また、それ以外に、自分自身に関わることで、それまでの人生が女性として満足できるものであったか?を自問自答する時期でもあるのです。こうしたことに後悔ばかりが自覚として強い場合には、更年期障害が起こりやすくなります。
また、痩せている人のほうが脂肪が少ないことから更年期障害になりやすいといいます。脂肪は女性ホルモンと近いものを出すので、この時期にはある程度の脂肪が必要なのです。

更年期障害の治療に効果を発揮する漢方薬
治療法は、欠落したホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)が一般的です。しかし、ここで重要なのはホルモン剤を使用するために様々な条件があることです。
血栓症があるとか、乳がんの既往がある、という人は服用できません。こういった人達には漢方薬を用います。もちろんホルモン剤は使いたくない、という人にも漢方薬が適用となります。
更年期障害で一番多い症状は、のぼせて汗が大量に出るというものですが、こういった症状に漢方薬を役立ててはどうでしょうか。

更年期障害症状別漢方薬

漢方薬は証が合えば、数回飲んで良くなる人もいるほど効果を発揮します。また2週間くらい続けても効果がでないようであれば薬を変更してみます。

子宮内膜症・子宮筋腫

病気そのものについてより、生理に伴うつらい症状を当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) で緩和

子宮内膜症は、子宮内膜の組織やそれに似た組織が子宮腔内外の卵巣などの場所に増殖する病気です。20~40代の女性に多く見られますが、最近は特に低年齢化しています。
症状としては

  • 強い生理痛
  • 過多月経などの月経困難症
  • 不正出血
  • 性交痛

などがあり、これらは不妊の原因にもなります。特に年々生理痛がひどくなるようだと子宮内膜症が疑われます。排卵や生理があるということが子宮内膜症になるおおもとの原因ですが、以前にくらべ子宮内膜症の人が増えている理由として、一般に結婚する時期が遅くなってきたことが挙げられます。

昔の人は18~19才で結婚して、その後7人も8人も出産していて、妊娠中や授乳中は生理はないわけですから、今の女性に比べると生理の回数が少なかったのです。
ところが、現代では初潮が11才くらいと低年齢化している上に、晩婚でおまけに出産する子供の数も1人~2人くらいです。つまり、昔の人に比べて生理の回数が多いわけで、それが大きな原因となっているのです。
言い方をかえれば、昔の人は子宮内膜症になっている暇がなかったといえます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) は子宮内膜症そのものの改善にも

西洋医学の一般的な治療方法としては、女性ホルモンの分泌を抑制し、一時的に生理を止めるホルモン療法を行います。しかし、副作用などもあり、長期的に使用するのはあまりオススメできません。
また、症状がひどい場合には手術をすることもありますが、将来、妊娠を希望する場合には子宮や卵巣は残さなければなりません。こういったことからも根治療法が難しくなっているのが現状ではあります。

子宮内膜症は西洋医学的な治療を第一選択としますが、生理痛や過多月経などの月経困難症の症状の改善には、漢方を使用します。これらの症状は漢方医学的みると『瘀血』(おけつ)によるものです。
瘀血(おけつ)とは血が滞っている状態ですが、極端な場合には、腹腔鏡でみることができます。
瘀血(おけつ)を診断するには、

  • 下腹に圧痛点がある
  • 舌が紫色
  • 唇が紫色
  • 舌の静脈が怒張

などである程度までは診断できます。
投薬は、年齢によっても変えていきます。10代~20代の若い人の場合には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、30代~40代ぐらいで中間証の人には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 温清飲(うんせいいん)を、実証の人には、冷えや腹部の痛みが強い場合によく用いるもので桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は症状を軽減させるばかりでなく、子宮内膜症そのものの改善にも効果があります。中高年の女性に多いのぼせや発汗、不定愁訴、また下腹部が強く痛む場合には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)が効果的です。
子宮内膜症の人のおよそ50%以上が、これで症状が改善しています。
さらに、強い生理痛があるときには、30代以降の人でもこれらの駆瘀血(くおけつ)剤に加えて芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などを生理のはじまる4~5日前から飲み始め、生理の2日前ぐらいまで続けると効果が増します。

漢方では子宮筋腫はつらい症状をとることを目的に

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性の潰瘍で30才以上の女性4人に1人にあるといわれています。大きさやできる部位によって症状は異なりますが、過多月経、下腹腹痛、便秘、不妊などがあらわれます。子宮筋腫は、それそのものは良性のものですから、基本的にはつらい症状だけ抑えるようにします。閉経すれば症状がなくなるため、年齢によっても治療が違ってきます。

漢方薬は何年飲み続けても害になりませんが、20年以上も続けるのは大変ですから手術を考えるのもひとつの方法です。閉経が近い人は無理に手術をせずに漢方薬で症状をとるのがいいでしょう。
漢方でも根治療法はなかなか困難なので、症状を緩和させ、日常生活が送れるように処置します。

妊娠中・出産後の不快な症状

水でといた小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)でつらいつわりも解消

妊娠・出産は女性にとって非常に嬉しくもあり、不安でもある時期です。新しい命を授かるために不快な症状を経験することも。
つわり(妊娠悪祖)は個人差があり、全く自覚のない人から出産直後まで続く人に様々です。
一般的に言われているつわりは妊娠6~10週ぐらいの時期にみられます。つわりによく効く漢方薬というと小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)です。
冷たい水かお茶などで、スプーンなどで少しずつ飲むとよく効きます。通常、漢方薬はより吸収力を高めるために、白湯で服用しますが、つわりのように吐き気があるときは、冷水を使用するのもいいでしょう。

この処方でほとんどのつわりは改善されますが、吐き気が長期続いていて、体力が落ちている場合には、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) を用いる場合もあります。

妊娠中毒症には五苓散(ごれいさん)と当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いる

妊娠中毒症などの症状、むくみやタンパク尿、高血圧といった症状には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や五苓散(ごれいさん)、柴苓湯(さいれいとう)といった利尿作用のある漢方薬が効果的です。
妊娠中毒症の場合、進行すると頭痛、手足のしびれ、呼吸困難など重症化する場合もあるので慎重に対処します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は腎臓の働きを活発にし、むくみ、タンパク尿を解消します。もちろん高血圧にも効果があります。
むくみがひどく、のどが渇く、尿の出がよくない場合には、五苓散(ごれいさん)を使用します。

流産や早産を予防

流産してしまう人は全体の15%ほどで、意外にも多くの女性が経験しています。流産の予防に使われるのが当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)で、早産の予防にも効果を発揮します。
この処方は、切迫流産(子宮出血や下腹痛など流産になる前の症状、適切な処置により妊娠の継続が可能)にも効果があります。
また、妊娠中の痔にも高い効果を発揮します。
流産が常習化してしまっている人には柴朴湯(さいぼくとう)が効果的です。
また、妊娠中は、腹痛や腰痛などの症状を訴える人も多く、不正出血の症状もみられます。腹痛や腰痛には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)で対処します。
痛みの原因は子宮の筋肉の収縮によるものですが、生薬の芍薬には筋肉の緊張をゆるめる作用があり、大変に効果があります。
不正出血には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と止血作用のある芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)を使用します。

妊娠中は、普段ならなんてことない体調不良も、体力が落ちていることから回復に時間がかかるケースもあります。何より胎児への薬の影響を考えたら、やはり漢方で対処するのがベストかと思います。また、妊娠中に風邪をひいてしまった際には、同様に西洋薬を使用せず漢方薬を使用します。軽症の風邪の場合には症状に合わせて次の薬を処方します。

また妊婦さんのせき止めに高い効果がある麦門冬湯(ばくもんどうとう)も適宜使用します。

妊婦さんの不安定な精神を安定させる甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)

妊娠中は精神的にも不安になりやすく、イライラして神経症を起こす人がたくさんいます。極端な場合には、強迫神経症になって精神を制御できずに運ばれてしまう人もいます。こういった場合には昔からヒステリーに効果のある甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)を使用します。

不妊症・排卵障害

不妊は五臓六腑の不調和が原因

赤ちゃんが欲しいのに2年以上できない場合、「不妊症」の治療対象とまります。最近の傾向としては、結婚年齢が高くなっているせいか不妊に悩む女性が増えています。不妊症の原因は様々ですが通常

  • 卵管通過異常
  • 子宮腔異常
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症

などの器質性異常と排卵障害などの機能性異常があります。器質性異常のケースでは手術が必要になることもありますので西洋医学での治療を第一に検討します。

機能性異常の中にも西洋薬のゴナドトロピン製剤の製剤の開発により、比較的高い妊娠率を得られるようになっているのが現状です。
排卵障害とはホルモンの分泌異常により排卵が起こらない状態のことをいいます。正常な排卵は視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモンが、脳下垂体を刺激することによって卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンが分泌され、それらがさらに卵巣から分泌される卵胞ホルモンなどを刺激することによって起こります。

この一連の流れの中でトラブルが生じると周期的な排卵が起こらなくなり、月経周期異常をはじめとする様々な症状があらわれ、不妊の原因になります。月経周期以上には3ヶ月以上も生理がない場合があり、これを無月経といいます。生理が止まる原因には、若い女性が過度のダイエットや痩せすぎによるものが多いと言います。
過度なストレスにより無月経になることもあり、就職後に無月経になることもあります。
ストレスなどの精神的疾患も含め、漢方では五臓六腑の不調による「気血水」の不足が内分泌の不均衡を促進させそれにより排卵障害や黄体機能不全という症状になってあらわれると考えます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、原因のわからない不妊症にも有効

不妊とは女性側ばかりに責任があるとは限りません。ところが、男性にも女性にも原因がなく原因不明で不妊になっている人もいます。こういった場合は「排卵はするが、長期妊娠」に至らないということです。

こういったケースにも漢方薬が効果的です。不妊症は虚証(きょしょう)の人が多く瘀血(おけつ)「水毒」の頻度が高いので駆瘀血(くおけつ)剤である桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) や利尿剤である当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いることが多くあります。
さらに胸脇苦満(きょうきょうくまん)(肋骨の下あたりに抵抗感があり不快感を自覚する)がある人も多く、その場合には、加味逍遥散(かみしょうようさん)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)などの処方も有効となります。

作用のメカニズムが解明されている温経湯(うんけいとう)

排卵障害や生理不順で忘れては成らない温経湯(うんけいとう)という漢方薬があります。温経湯(うんけいとう)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) は、ゴナドトロピンの分泌促進作用があることがわかっています。
とくに温経湯(うんけいとう)はラットの実験段階で視床下部にGnRH分泌促進作用があることがわかっており、人間ではゴナドトロピン律動性分泌(波状分泌)を改善することにより卵胞刺激を高め、卵胞ホルモン分泌を促進し、卵巣機能を調節することが明らかになっています。これによって正常な排卵がされるようになります。

また、排卵性月経周期異常である黄体機能不全に対しては、温経湯(うんけいとう)は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とともに黄体期の延長とプロゲステロンの産生、放出を促すことが明らかになっています。
漢方薬を投与して2~3週間で効果があらわれる人もいれば2~3ヶ月かかる人もいます。よく効く人の場合だと最初の周期から排卵するようになります。不妊症の治療は今や日進月歩ですが、自分にあった不妊治療と出会うまでに比較的時間がかかります。

不妊症・排卵障害の漢方薬の処方ガイドまとめ

原因不明の不妊症→桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
原因不明の不妊症(胸脇苦満(きょうきょうくまん)のある場合)加味逍遥散(かみしょうようさん)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)など
排卵障害や生理不順→温経湯(うんけいとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)