泌尿器系の病気」カテゴリーアーカイブ

膀胱炎(ぼうこうえん)

膀胱炎(ぼうこうえん)は、膀胱の粘膜が大腸菌などの細菌の感染によって炎症を起こす病気です。男性よりも女性に多く起こります。女性に多いのは、男性より女性のほうが尿道が短く、膀胱内に外陰部の細菌が簡単に侵入できてしまうためです。これは急性膀胱炎といいますが、何度も繰り返して慢性化することもありますから、注意が必要です。

細菌が感染するものだけでなく、体が冷えたり風邪をひいた後など、またストレスによっても発病することがあるのですが、膀胱内に細菌が侵入したとしても、粘膜の自浄作用や排尿をすることによって自然に治まっていくこともあります。排尿はこの意味で大切なことであり、普段の生活をしているとなかなかトイレに行きにくい状況というのもあるとは思いますが、がまんするのはとても良くありません。体力や抵抗力が落ちているときには特に注意しましょう。

急性膀胱炎の症状としては、トイレが近くなり、おしっこをしたときに痛む、尿が白っぽくにごるなどの症状があります。尿意を感じる回数が増えるのですが排尿しても残尿感があります。尿がにごるのは白血球が増えるためですが、血尿が出る場合もあります。そして、つらいのが排尿痛です。排尿の終わりに尿道口に強い痛みを感じるのですが、焼けるように痛みます。

ほかには、下腹部が張った感じがしたり、まれにですが、微熱が出ることがあります。もし、38度以上の高熱が出た場合は、悪化して、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの病気を併発している可能性がありますので注意が必要です。普通は数日で治るものですが、軽いうちに専門医を受診すると良いでしょう。

漢方薬で膀胱炎の症状を改善する

漢方薬の使い方は、膀胱炎の原因となる下半身の冷えや尿の状態の異常に対し考えます。急性膀胱炎の場合には、水分を多めにとって尿の量を増やすことが大切です。

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
    のどが渇き水分をとっても尿量が少ないときに用います。排尿痛が強いとき、尿に血が混じるときにも効果的です。
  • 五淋散(ごりんさん)
    特に排尿痛が激しいときに用います。トイレが近い、尿が出にくい、にごる、血が混じるなども目標になります。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    女性の冷えや貧血などの体質改善に使われる漢方薬です。体力があまり無い人の冷えや神経的な原因による頻尿を改善していきます。

尿路結石

尿路(にょうろ)とは体内でつくられた尿が体外へ排出されるまでの通路のことで、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道がそれに当たります。そして、この尿路の間に石ができることを結石(けっせき)といい、石が引っかかったり、詰まったりすることで起こる障害が尿路結石(にょうろけっせき)となります。

日本人では腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が多く、尿路結石の90パーセント以上を占めているといわれています。結石によって起こるおもな症状には、尿が出にくい、わき腹から下腹部にかけての激痛、尿に血が混じる血尿などがあります。しかし、腎臓に結石がとどまっている状態だと、まったく症状がないケースもあるのです。
加齢や前立腺肥大症などによっても似たような症状が起こりますから、尿の状態がおかしいと思うことがあったら、泌尿器科を受診するとよいでしょう。

尿路に石ができるのは、尿の中のさまざまな成分が沈殿し、それらが徐々に大きくなるためです。結石が大き過ぎると腎臓から尿管に入らないために痛みは少ないといわれ、小さいほうが痛みが強いですが、これは、取り出しやすく治りやすいということになります。

治療しても、尿路結石の再発を繰り返す人がいます。こういった場合には、結石の成分を調べたり、原因になっている病気を調べて治療することが大切です。

自分でできる結石の予防や症状の改善は、食生活や運動が基本になります。食事では、肉類などの動物性タンパク質の量を控えめに、野菜類を多くしたメニューを取り入れましょう。また、ストレスを抱えることも影響するので注意しましょう。

漢方薬で尿路結石の症状を改善する

尿路結石の強烈な痛みを漢方薬だけで鎮めることは難しく、鎮痛剤などに頼らなくてはならないこともあります。しかし、再発する人の体質改善に期待がもてます。

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
    尿の出が悪く、血尿があって、痛みにも効きます。阿膠(アキョウ)の作用で血尿を止め、滑石(カッセキ)の作用で文字どおり滑りが良くなり、石を排出しやすくします。
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
    さまざまな痛みを止めるのに用います。筋肉のけいれんや緊張をほぐすので痛みを抑え、結石の排出に役立ちます。

腎炎

腎臓は体内の水分の質や量のバランスを整えている臓器で、腎臓の濾過(ろか)装置である糸球体という部分が感染によって炎症を起こす病気を腎炎といいます。発病は細菌の感染によるもので、風邪や急性扁桃炎にかかってこれらが治る頃に腎炎の症状があらわれます。腎炎の症状としては、まず、顔にむくみがでます。しかし、急性腎炎の場合はむくみが無いこともありますから、これだけでの判断はできません。

体がむくむというのは尿が出にくいために起こるものですから、尿量が少ないというのも特徴的な症状のひとつです。さらに、血圧が上昇したり、口の渇きがあらわれることもあります。そして、尿検査をすると、目には見えない血液やタンパク質が認められます。

急性腎炎では、発病してから一週間くらいは、絶対安静が必要です。急性腎炎が生命の危険にかかわるようなことはほぼありませんが、繰り返したり、早めに対応しておかないと慢性化してしまい、非常に治りにくくなるのです。また、血圧の上昇や尿量の減少から急性尿毒症が引き起こされると危ないので、専門医の治療を受けましょう。

漢方薬で腎炎の症状を改善する

むくみがある、尿の出が悪いときには

血尿、タンパク尿には

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
    尿意はあるけれど尿が出にくい、排尿痛や血尿があるときに用います。
  • 柴苓湯(さいれいとう)
    むくみがあり、吐き気や食欲不振、発熱などがあるときに効果的です。のどの渇きや、みぞおちから脇腹にかけての圧迫痛にも良いです。

男性に急増中の前立腺肥大を改善する漢方活用

注目があつまる高い効果

前立腺は男性のみが持つ器官で、排尿や生殖にかかわる働きを担っています。膀胱の出口に位置して、中を尿の通り道である尿道と、精液の通り道である精管が前立腺内で合流しています。大きさはクリの実くらいで、加齢に伴って肥大することがあります。

肥大自体は加齢による変化であり、老化現象で病気ではありません。尿が出にくくなるなどの排尿障害が見られる場合には、「前立腺肥大症」と呼びます。50歳以上の男性が排尿障害を訴えたら、まずは前立腺肥大を疑えといわれるほどポピュラーな病気ですが、前立腺肥大に対する考え方は、最近、変わってきています。
以前は、肥大した前立腺が尿道を圧迫することが排尿障害の原因だとされていました。しかし、現在では異なっていて、前立腺の機能による影響だと考えられています。

症状は3期に分かれて生じます。まず、症状の第1期には、排尿の回数が増えます(頻尿)。尿の勢いが低下したり、排尿開始までに時間がかかったりすることもあります。第2期は、いきまないと尿が出なくなります(排尿困難)。尿が出切らず膀胱に残り、残尿感のためにさらに頻尿になったり、尿が出なくなったりすることもあります(尿閉)。第3期には、排尿困難が進みます。膀胱内にいつも多量の尿が残って、ダラダラ漏れてくることもあります。

1期と2期では、ほとんどのケースで、薬で症状を改善することができます。3期でも薬が有効で、今は、あまり手術を行うことはありません。手術は、尿道から内視鏡を入れ、高周波電流で患部を取り除く方法が主流です。痛みが少なく出血もわずか。性的能力が損なわれる心配もありません。なお、排尿障害は前立腺肥大によってのみ起こるわけではありません。

前立腺ガンが原因で起こることもあります。「尿が出にくい=前立腺肥大」と自己判断して放置することなく、きちんと検査を受けましょう。

漢方では、頻尿や尿が出にくいなどといった排尿障害を、体内の水分の流れが悪くなっているせいだと考えて治療します。そこで、まずは水分の流れをよくする作用を持つ漢方薬(利水剤)を選ぶのです。前立腺肥大は加齢によって起こるので、衰えた体力や気力を補うために、血の巡りを良くする駆瘀血剤や、気(一種の生命エネルギー) の流れを整える気剤も必要になってきます。
この3つがバランスよく配合されているのが、八味丸(八味地黄丸)です。

前立腺肥大に用いる漢方薬として最適で、実際に高い治療効果を上げています。
強力な利尿作用(尿の出をよくする働き)を求めるときは牛車腎気丸が適しています。排尿時にしみる、痛む、血尿が出るなど膀胱炎の症状もあるなら、猪苓湯がいいでしょう。胃腸が弱い人には、八味丸よりも胃腸への刺激が少ない、六味丸を使います。いずれも前立腺や膀胱の機能を高め、排尿障害を改善する効果に優れています。