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胆石症

胆石症(たんせきしょう)というのは、胆道に石ができて、痛みが出る病気です。胆道は、肝臓でつくられた、脂肪を消化するための液である胆汁(たんじゅう)を十二指腸へ送る管のことです。その途中には、胆汁を貯めて濃度を濃くする、胆のうと呼ばれる袋があります。

胆石症とひとくちに言っても、結石ができる場所によって、症状や治療法がそれぞれ違います。結石は、肝臓の中にできる場合(肝内結石)、肝臓と十二指腸の間にできる場合(胆管結石)、胆のう内にできる場合(胆のう結石)があり、専門医の診断を受ける必要があります。

胆石症の一般的な症状には、右上腹部の痛みや発熱、黄疸(おうだん)があります。痛む部位は、上腹部のほか、みぞおちや背中などです。

胆のう結石の場合についてですが、食事をすることにより収縮して胆汁を出そうとしたときに、胆石の痛みは起こります。収縮すると、胆のう内にできた結石が動き、このときに胆のうの出口、胆管の入り口に結石がつまり、痛みが発生します。右上腹部に言葉にできないほどの激痛が走るとよく言われますが、これは「疝痛発作」と呼ばれます。

痛みは、結石の大きさにも左右されます。結石の大きさはさまざまで、胆のう内に満杯に結石ができている場合、胆のうが収縮しても結石が動くことがないため痛みを感じずに、胆石だと気づかない人もいるといいます。

そして、このような痛みだけでは、胃・十二指腸潰瘍や膵炎(すいえん)、急性虫垂炎などの痛みとの区別が、なかなかつきません。黄疸の症状も、ほかの病気との区別が難しいこともあります。

胆石症の原因としては脂肪分の摂り過ぎが問題となっているともいわれていて、普段からの食事に注意しなければなりません。

漢方薬で胆石症を改善する

胆石症に多いのは、どちらかというと痩せている人よりも太っている人、それに男性よりも女性だといわれます。年齢的にいうと30歳以上の人が多いので、中年を過ぎたら定期的に検診を受けるのが良いでしょう。

漢方では、胆道の病気として、みぞおちから脇腹にかけての圧迫感があるかが目安とされ、次のような薬の処方があります。

体力のある人に

  • 大柴胡湯(だいさいことう)
    胆石は体格の良い人に多く、この薬は大勢の胆石症に用いられます。みぞおちから脇腹にかけての圧迫感があり、便秘がある場合に効果的です。

体力の無い人に

  • 四逆散(しぎゃくさん)
    手足の冷えや腹痛などの改善に用いられる薬ですが、胆石症にも応用されます。そのほかの症状では、胸やけ、食欲不振、胃潰瘍、抑うつ性の神経症状などに効果的です。

急激に痛むときに

肝硬変

急性肝炎にかかり、そのまま治らず進行してしまい慢性肝炎に移行するのは、肝炎の人の全体の20パーセントくらいだといわれています。また、慢性肝炎にかかった人のうち肝硬変に移行するのは、10~20パーセントくらいといわれています。

B型やC型のウイルス肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎などでは肝臓に傷ができますが、それを修復するときに線維(タンパク質)ができます。慢性肝炎では、肝臓の細胞の破壊と再生が繰り返されて、肝臓の周りには線維が増加して硬くなります。こうして硬くなってしまった肝臓を肝硬変といいます。

肝硬変に移行するとき、肝臓は徐々に硬くなっていくので、働きが保たれているうちは自覚症状が無いといいます。無症状のまま、ゆっくりと進行していくのです。

全身の倦怠感や食欲不振、吐き気といった症状があらわれる頃には、かなり肝硬変が進行した状態で手遅れになることもあるといいますから、予防しておくことが非常に重要となります。

肝臓が硬くなると、肝臓への血流が悪くなり、水分が腹膜にたまります。これを腹水といいます。カエルのようにお腹が膨らみます。おへその周囲には、静脈の膨張がみられることもあります。また、食道に静脈瘤(じょうみゃくりゅう)ができたり、「肝性脳症」といって肝障害が原因で起こる精神神経症状など、重篤な症状が起こることも考えられます。

漢方薬で肝硬変を改善する

腹水がたまっている状態では、かなり病気が進行しているということなので、必ず専門医の診察を受けなければなりません。そうなる前に、やはり、定期的に検診を受けることが大切です。特に、お酒を飲み過ぎると肝硬変を誘発することになるので、注意が必要になります。

腹水以外の特徴的な症状には、胃のむかつきや上腹部の膨満感、食欲不振、吐き気などがあります。

漢方薬では、次のような処方が考えられます。いずれにしても重大な病気ですから、主治医の了解のもと、漢方の専門家にも相談するのが良いでしょう。

  • 柴苓湯(さいれいとう)
    これは、小柴胡湯(しょうさいことう)五苓散(ごれいさん)を合わせた漢方薬で、一般に、慢性化した症状に対して使われる薬です。肝硬変の場合、初期に用いることで、圧痛や膨満感など胃腸の症状の改善に期待できます。
  • 分消湯(ぶんしょうとう)
    体力がわりとある人の、腹水や足のむくみなどに効果的です。尿の出が悪いときにも用いられます。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    虚弱体質の女性の冷えや更年期障害、神経症状に効果的なことが知られていますが、肝硬変では、腹水に対し効果が期待されます。

肝炎

肝臓は、私たちの体の臓器の中で最も大きな臓器です。分解、代謝、解毒、エネルギーの産生と、私たちの生命を維持するのにとても重要なはたらきをしています。

肝炎は、肝臓の細胞が炎症を起こして肝臓全体が冒されてしまう病気です。食べものを通じてウイルスが口から入ったり、ウイルスをもった人の血液を介して感染し、発病します。日本人に一番多い肝炎は、ウイルス感染によって肝臓が炎症を起こすウイルス性肝炎です。B型やC型などと呼ばれるものです。

昔は輸血や出産時の母子感染が問題とされてきましたが、新しく問題となっているのは、性行為やピアスやタトゥーの施術に使う針などの衛生上の問題です。

急性のウイルス性の肝炎では、初期の症状は風邪と似ています。熱はそれほど高くなく、消化器系に症状があらわれたり、体のだるさはありますが、軽ければそのまま治ってしまうこともあります。しかし、進行すると、体には黄疸(おうだん)が出て、意識はぼんやりしてきてやがて昏睡状態となり、死に至ります。症状が続くと慢性肝炎となって、肝硬変や肝細胞ガンへと進行するためです。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、ダメージを受けてもなかなか症状が出にくいという特徴があります。こうして、自覚症状がないことや感染した時期が明確ではないことが多いため、適切な時期に治療を受けられることが少なく、なんらかの症状が出て病院に行ったときには、すでに重症化していることもあります。

アルコールの飲み過ぎが原因で肝炎が起こることもあり、肝硬変の引き金にもなるので注意が必要です。

肝臓病と漢方薬について詳しくはこちら

漢方薬で肝炎を改善する

東洋医学では、肝臓のことを「血を蔵し、魂(こん)を蔵す」臓器だと考えられています。大量の血液を貯蔵してその調節を行っている肝臓は、精神や感情の動きにも関わっているのです。ですから、情緒を安定させることも大切だといえます。そして、漢方薬では次のような処方があります。

体力のある人に

  • 大柴胡湯(だいさいことう)
    がっしりした体格の人、太っていて血圧が高い人に。みぞおちから脇腹にかけて圧痛や膨満感、便秘、食欲不振、吐き気や嘔吐などがあるときに用います。

体力の無い人に

激しいむくみや黄疸があるときに

  • 茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
    この薬は五苓散に茵蔯蒿(いんちんこう)という生薬を加えたものです。茵蔯蒿とはカワラヨモギを乾燥させたもので、むくみや黄疸のほか、口の渇きや尿の減少などにも効果的です。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の内側の壁の粘膜がただれて傷ができたり、一部が欠損したりする病気です。重症化すると、出血したり壁に孔があいて危険な状態になることもあるので、できるだけ早く治療が必要になります。

口から入ってきた食べものは胃へ送られ、これらを消化するために胃の壁から胃液が分泌されます。胃液の主な成分は胃酸と消化酵素で、胃酸によって胃の中は酸性に保たれています。この強力な酸によって胃に送りこまれた食べものは溶けて柔らかくなり、胃に進入した細菌などは死んでしまいます。

しかし、通常、胃酸が自分の胃壁を傷つけることはありません。これは胃壁の表面にある胃粘膜が、粘液やアルカリ性の物質および粘膜細胞を保護する物質を出したり、酸や老廃物を除去したりして、胃酸から胃を守っているからなのです。

胃潰瘍は、主に、こうしたはたらきが弱くなることで起こります。また、多くの人が保持しているピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染が大きく関与していることがわかっているし、精神的なストレスも原因となっていることが知られています。これらが引き金となって胃粘膜のはたらきは弱まり、やがて潰瘍ができます。十二指腸潰瘍のほうは、胃酸に対しての抵抗力が胃よりも弱く、胃酸の分泌が高まることで潰瘍ができます。そして、胃と同じように十二指腸もピロリ菌の感染によって粘膜が傷つきます。

食事では、栄養バランスの良い食事をとること、コーヒー、香辛料、極端に熱いものや冷たいものなどは避けたほうが良いです。脂肪分の多い食事は、胃酸の分泌を増やすことになりますから注意しましょう。日常生活では、規則正しい生活を送り、ストレスはできるだけ抱えないようにしたいものです。アルコールやたばこも良くありません。

病気の症状は人によってさまざまありますが、上腹部に刺すような痛みがあるといいます。胃潰瘍の場合は食後に、十二指腸潰瘍の場合だと空腹時に痛みを感じることが多いといわれています。ほかには、胸やけがしたりゲップが出たり、膨満感や吐き気が起こることもあります。

漢方薬で胃・十二指腸潰瘍を改善する

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療では、精神の安定をはかることも大切なことのひとつです。大きな悩みを抱えたり、過度の緊張を受けたときには、気分転換などをして発散しましょう。睡眠をじゅうぶんにとることや食事に気をつけることも大事です。漢方薬では、次のような処方で効果に期待します。

体力が無い人には

  • 安中散(あんちゅうさん)
    ストレスを受けると胃が弱りやすい人や疲れやすい人に用います。痛みや胸やけに効果的です。

体力が中くらいの人には

体力がある人には

  • 大柴胡湯(だいさいことう)
    がっちりした体格で体力のある人に用います。便秘気味で、みぞおちから脇腹の辺りに膨満感や圧痛がある、などの症状の人に使う薬です。

胃下垂・胃アトニー

胃下垂(いかすい)は、胃の位置が通常よりも下がってしまっている状態をいいます。胃下垂だけの状態だと自覚症状はほとんど無く、病気ではありません。ただし、この胃下垂が原因で胃の筋肉がたるんでしまい、胃のはたらきが悪くなって不快な症状があらわれると胃アトニーとなります。

胃下垂の人は、胃が骨盤よりも下がっているといわれますが、病気ではないので特に治療の必要はありません。原因はホルモンの不調や、虚弱体質、腹部の脂肪不足などが考えられていて、一般的に、やせている女性に多くみられるといいます。また、過労やストレス、暴飲暴食などが引き金となって胃のはたらきが弱くなり、胃アトニーの症状があらわれやすくなります。胃アトニーになると、胃の痛みやむかつき、膨満感、食欲不振、吐き気、げっぷ、精神疲労などの症状があらわれます。

胃下垂・胃アトニーでは、胃の運動が弱くなってしまうために消化不良が起こります。消化のあと、腸へ内容物を送る力も弱まります。ですから、胃がもたれたり、胸につかえる感じがしたり、食欲が無かったりするのです。さらに、神経症状として、不安感やめまい、冷え、肩こりなどを伴うこともあります。

対処法としては、食事は1回の量を少なくし1日に4~5回以上に分けて食べる、腹筋運動などで体を鍛える、規則正しい生活を送り精神的にリラックスする、などがあります。

漢方薬で胃下垂・胃アトニーを改善する

胃下垂や胃アトニーは、先にも記したように体の細い人に多く、がっちりした体格の人にはあまりみられません。さらに、神経質で無力性体質の人に多いようです。

食後しばらく、胃が振動するとポチャポチャというような音がするという特徴があり、漢方では胃内停水(いないていすい)といわれる水毒の症状だとされていて、漢方薬の処方では次のようなものがあります。

  • 六君子湯(りっくんしとう)
    体力があまり無くて、貧血、胃弱、食欲不振、消化不良、下痢などの症状があるときに用います。神経症状の改善にも効果的です。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
    みぞおちからおへそにかけて動きが感じられるときに用います。食欲不振や、胃がポチャポチャ鳴る停水のあるとき、めまいやのぼせ、立ちくらみなどにも良いです。
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
    小児の虚弱体質に用いられる薬です。疲れやすく顔色が悪い、食欲が無い、腹痛を起こしやすいなど、体力が無く胃腸の弱い人、神経質になっている人に使います。

急性胃炎

急性胃炎とは、お酒の飲み過ぎ、たばこの吸い過ぎ、刺激物のとり過ぎ、またはアレルギーなどによって起こる、一過性の胃の消化障害をいいます。原因や症状には次のようなものがあります。

食事性の胃炎は、食べ過ぎや、香辛料、冷たいもの、お酒、たばこなどといったもののとり過ぎによって、胸やけや吐き気、胃の痛みなどが起こって、ひどくなると嘔吐(おうと)します。

薬物性の胃炎は、アスピリンや痛み止めをのんだ後に、胸やけを起こしたり、ゲップが出たり、食欲不振になります。

神経性の胃炎は、ストレスにより引き起こされ、胃痛や吐き気などがあらわれます。

細菌性の胃炎は、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、サルモネラ菌などによる胃炎で、食中毒といわれるものです。食後まもなくに、激しい腹痛や吐き気、嘔吐を起こし、意識障害になることもあります。

アレルギー性の胃炎は、シメサバなどの食品アレルギーによって起こり、吐き気や嘔吐、急激な腹痛などを起こします。

このような急性胃炎の治療には、まず食事療法がおこなわれ、基本的に絶食となります。あるいは、流動食やおかゆといった胃の負担が少ないもののほかは、食べないほうが良いです。細菌性の胃炎である食中毒の場合などには、急いで医師の治療を受ける必要があります。

胃が弱いという人は、日頃から注意していましょう。

一方、慢性胃炎は、急性胃炎のように完治することはほとんど無いといわれています。そして、慢性胃炎が起きる原因の多くはピロリ菌の感染であることがわかってきています。

漢方薬で急性胃炎を改善する

急性胃炎の症状が2日以上続いたり、痛みが激しかったり、熱があったりしたら、早急に病院へ行きましょう。精密検査を受けて、悪性のものであるかを確認する必要があります。

漢方薬では、次のような薬が効果的です。

急性胃炎の場合には

  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
    痛みはそれほど激しくなく、舌が白いコケが付き、食欲不振、むかつきや吐き気といった症状があるときに用います。
  • 平胃散(へいいさん)
    急性の消化不良に一般的に用いる薬です。食欲不振や、胃・腹部膨満感の改善に良いとされています。
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
    筋肉に起こる急激なけいれんや痛みを鎮めるのに用いる薬です。胃の激痛が急に起こったときに頓服として使います。

肝臓疾患

がんへの移行を抑制

肝臓が悪くなる原因はさまざまですが、日本で多いのは、ウイルス性肝炎と肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝です。

ウイルス性肝炎には、A型、B型、C型などの複数タイプがあります。A型は、急性肝炎を起こし、慢性化することはありません。
B型は、慢性化したり、細胞が広範囲に壊死して、機能不全に陥ることもあります。これは劇症肝炎といいます。
C型は、慢性化することが多く、肝硬変やがんへ移行することが多く、注意が必要です。

脂肪肝が増加している理由は、食習慣の欧米化、飲酒、運動不足、肥満などによるものです。脂肪が肝臓に蓄積すると、細胞の一部が線維化して肝機能が低下し、長い経過をへてまれに肝硬変を移行する場合もあるので注意が必要です。

脂肪肝は、糖尿病や高脂血症の合併症としてあらわれることもあります。一般に漢方薬の治療対象となるのは、慢性肝炎です。

肝臓には柴胡(さいこ)が使われる

ウイルス性肝炎のなかで急性肝炎と劇症肝炎は、西洋医学的治療が優先され、漢方薬は、補助的な使用となります。

脂肪肝に漢方を用いることもありますが、食生活の改善、運動、体重の減少、アルコールの制限などを同時に行うことが不可欠です。
薬だけに頼るのではなく生活習慣、食習慣も徹底的に見直します。

慢性肝炎には、インターフェロンという西洋薬が使用されますが、効果が得られない例も後をたちません。
こうした人でも漢方薬でかなり改善される例があります。

慢性肝炎には補中益気湯(ほちゅうえつきとう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を

肝臓には、柴胡(さいこ)剤、一般にはこれが基本の処方となります。柴胡(さいこ)剤とは、柴胡という生薬を主成分にした漢方の総称です。柴胡には肝障害の改善、インターフェロンの誘起作用などがあります。また免疫力を高める作用もあり、肝臓にトラブルをかかえた人には効果の高い生薬です。

肝臓には、小柴胡湯(しょうさいことう)が効くと言われていた時期がありましたが、体質も症状も無視して小柴胡湯(しょうさいことう)を飲む人が多くいて、効果が得られないだけでなく、副作用がでてしまったことが問題になりました。

漢方薬は、体力、体質、症状などを総合的に判断し、証に合ったものを使わなければ、効果は得られません。

体力があり、体格もよく便秘気味、肩こりやみぞおちなどの張りある人は、大柴胡湯(だいさいことう)が有効です。

体力があり、不眠やイライラなどの症状が気になる人は、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が適します。
この漢方を服用すると精神的にも安定してきます。

普通程度の体力で、ある中間証の人に合うのが小柴胡湯(しょうさいことう)です。肩こりやみぞおちの張りがややあり、起床時に口の中に苦みを感じる、また、口の中が粘るなどの症状がある場合に使用します。

体力が落ちている人は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がいいでしょう。口の渇き、疲れやすさ、冷え、貧血傾向があることが目安となります。

体力がない、疲労感が強い、気力も出ないなどの人には、補中益気湯(ほちゅうえつきとう)がよいでしょう。

肝臓疾患で肝機能が低下すると、胆汁が正常に分解・排泄できずに皮膚や粘膜が黄色くなることがあります。黄疸という症状です。

黄疸が合併したときは、柴胡(さいこ)剤に加えて、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)または茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。
どちらも胆汁の流れを改善する作用を持つ漢方薬です。
体力が比較的あり、便秘傾向の人は、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)を。体力が低下気味でのどが渇いて水分を摂取する割りには、尿の出が悪い、肝硬変に近い状態で腹水が溜まるなどの場合には、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。

淤血(おけつ)の傾向の人は、淤血(おけつ)を改善する漢方薬を柴胡(さいこ)剤と組み合わせます。

比較的体力もあり、のぼせなどの症状がある人は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう) を、体力普通程度で赤ら顔、下腹部に抵抗のある人には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 、体力がなく、疲れやすい、めまいやむくみがある、足腰が冷えるという人は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を使います。

また、冷え・のぼせや不定愁訴がある人には、柴胡を含み、淤血(おけつ)剤でもある加味逍遥散(かみしょうようさん)が効果的です。

肝臓は、体内の血液の1割を貯蔵し、全身の血液を調整、栄養分を代謝するなどの働きを担っています。
肝疾患があるときは、血液をよい状態に保ち、それらの機能を低下させないことが大切です。