生活習慣病」カテゴリーアーカイブ

肝臓疾患

がんへの移行を抑制

肝臓が悪くなる原因はさまざまですが、日本で多いのは、ウイルス性肝炎と肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝です。

ウイルス性肝炎には、A型、B型、C型などの複数タイプがあります。A型は、急性肝炎を起こし、慢性化することはありません。
B型は、慢性化したり、細胞が広範囲に壊死して、機能不全に陥ることもあります。これは劇症肝炎といいます。
C型は、慢性化することが多く、肝硬変やがんへ移行することが多く、注意が必要です。

脂肪肝が増加している理由は、食習慣の欧米化、飲酒、運動不足、肥満などによるものです。脂肪が肝臓に蓄積すると、細胞の一部が線維化して肝機能が低下し、長い経過をへてまれに肝硬変を移行する場合もあるので注意が必要です。

脂肪肝は、糖尿病や高脂血症の合併症としてあらわれることもあります。一般に漢方薬の治療対象となるのは、慢性肝炎です。

肝臓には柴胡(さいこ)が使われる

ウイルス性肝炎のなかで急性肝炎と劇症肝炎は、西洋医学的治療が優先され、漢方薬は、補助的な使用となります。

脂肪肝に漢方を用いることもありますが、食生活の改善、運動、体重の減少、アルコールの制限などを同時に行うことが不可欠です。
薬だけに頼るのではなく生活習慣、食習慣も徹底的に見直します。

慢性肝炎には、インターフェロンという西洋薬が使用されますが、効果が得られない例も後をたちません。
こうした人でも漢方薬でかなり改善される例があります。

慢性肝炎には補中益気湯(ほちゅうえつきとう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を

肝臓には、柴胡(さいこ)剤、一般にはこれが基本の処方となります。柴胡(さいこ)剤とは、柴胡という生薬を主成分にした漢方の総称です。柴胡には肝障害の改善、インターフェロンの誘起作用などがあります。また免疫力を高める作用もあり、肝臓にトラブルをかかえた人には効果の高い生薬です。

肝臓には、小柴胡湯(しょうさいことう)が効くと言われていた時期がありましたが、体質も症状も無視して小柴胡湯(しょうさいことう)を飲む人が多くいて、効果が得られないだけでなく、副作用がでてしまったことが問題になりました。

漢方薬は、体力、体質、症状などを総合的に判断し、証に合ったものを使わなければ、効果は得られません。

体力があり、体格もよく便秘気味、肩こりやみぞおちなどの張りある人は、大柴胡湯(だいさいことう)が有効です。

体力があり、不眠やイライラなどの症状が気になる人は、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が適します。
この漢方を服用すると精神的にも安定してきます。

普通程度の体力で、ある中間証の人に合うのが小柴胡湯(しょうさいことう)です。肩こりやみぞおちの張りがややあり、起床時に口の中に苦みを感じる、また、口の中が粘るなどの症状がある場合に使用します。

体力が落ちている人は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がいいでしょう。口の渇き、疲れやすさ、冷え、貧血傾向があることが目安となります。

体力がない、疲労感が強い、気力も出ないなどの人には、補中益気湯(ほちゅうえつきとう)がよいでしょう。

肝臓疾患で肝機能が低下すると、胆汁が正常に分解・排泄できずに皮膚や粘膜が黄色くなることがあります。黄疸という症状です。

黄疸が合併したときは、柴胡(さいこ)剤に加えて、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)または茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。
どちらも胆汁の流れを改善する作用を持つ漢方薬です。
体力が比較的あり、便秘傾向の人は、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)を。体力が低下気味でのどが渇いて水分を摂取する割りには、尿の出が悪い、肝硬変に近い状態で腹水が溜まるなどの場合には、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。

淤血(おけつ)の傾向の人は、淤血(おけつ)を改善する漢方薬を柴胡(さいこ)剤と組み合わせます。

比較的体力もあり、のぼせなどの症状がある人は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう) を、体力普通程度で赤ら顔、下腹部に抵抗のある人には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 、体力がなく、疲れやすい、めまいやむくみがある、足腰が冷えるという人は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を使います。

また、冷え・のぼせや不定愁訴がある人には、柴胡を含み、淤血(おけつ)剤でもある加味逍遥散(かみしょうようさん)が効果的です。

肝臓は、体内の血液の1割を貯蔵し、全身の血液を調整、栄養分を代謝するなどの働きを担っています。
肝疾患があるときは、血液をよい状態に保ち、それらの機能を低下させないことが大切です。

風邪

風邪かな?という初期症状には漢方薬とアツアツのおかゆ

「風邪は万病の元」と昔から言われますが、小児ぜんそくアトピー性皮膚炎などが風邪をきっかけに重症化するケースもあります。

風邪の漢方薬としての定番は葛根湯(かっこんとう)ですが、風邪の初期段階で飲む薬です。風邪かな?というタイミングで飲む薬です。
体力が低下気味の人は、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)のほうを試すといいでしょう。ただしこのふたつには、麻黄という生薬が含まれているので、高齢者や体質が合わない人が飲むと胃腸に触る場合があります。

もともと胃腸が弱く、体力が低下している人であれば柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)または、参蘇飲(じんそいん)が有効です。
桂枝湯(けいしとう)は、代謝がよく汗をかきやすいことが必須条件。単に胃腸が弱い人は、参蘇飲(じんそいん)が有効となります。
参蘇飲(じんそいん)は、風邪のひきはじめはもちろん、3~4日経過して、痰や咳が多く鳴頃まで使うことができます。

風邪の治療は、ひきはじめの半日、おそくとも2~3日が重要です。その間にこれらの漢方薬を飲み、アツアツのおかゆを食べてしっかり睡眠をとれば治ります。
それ以上の時間が経過しても改善しないときは、漢方をかえます。

せき、鼻水、熱、悪寒

症状がひどくなり、微熱や悪寒がなかなかとれないときは、小柴胡湯(しょうさいことう)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)が有効です。体力が普通程度の人には、小柴胡湯(しょうさいことう)。体力が衰え気味の人には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がおすすめです。

体力がない虚弱タイプには、柴胡桂枝干姜湯(さいこけいしかんきょうとう) が最適。これは普段から冷えなどがあり、神経質な人で微熱や悪寒がなかなか抜けない場合に有効です。

アレルギー症状があり、せきやくしゃみ、鼻水がひどくでる、頭痛や悪寒、熱があるという人には、小青竜湯(しょうせいりゅうとう) を用います。

西洋薬も併用している場合には、漢方薬の解熱剤を併用しないことが重要です。漢方薬は、主に温めながら熱を下げますが、西洋薬は、冷やして熱を下げるためです。

よく風邪をひく

特にからだに異常がないのに、頻繁に風邪をひくタイプは、柴胡(さいこ)という生薬をベースにした柴胡剤が最適。
体力がやや低下気味で、疲れやすい、体の痛みや頭痛などがある場合は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を。体力がない虚弱タイプで冷えやすい、神経過敏な人は、柴胡桂枝干姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 、消化器が弱い虚弱タイプや疲れやすい、食欲不振、口に泡のようなつばがたまるような人には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が有効です。

子供の場合には、基本的には大人と同じでいいのですが、病気がちで風邪をひきやすい子には、小建中湯(しょうけんちゅうとう)を飲ませるとよい結果がでるでしょう。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)の成分には、初期の風邪に効く桂枝湯(けいしとう)が組み込まれているので、これが風邪をひきにくくします。
漢方では体質改善を目指しますので、年単位で飲むことで丈夫な体をつくります。

アレルギー性鼻炎・花粉症

花粉の時期の少し前から飲みはじめる

日本では、3000万人以上もの人が花粉症で苦しんでいるといいます。まさに国民病です。花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です。主にスギ花粉が体内に入ったときに、免疫系統が過剰な反応を示し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目やのどのかゆみなどの症状が発生します。
最近は、ブタクサの花粉に反応する人も増加しています。

花粉以外では、ダニやほこりなどのハウスダスト、ネコや鳥などの動物、で寒冷刺激などに反応して症状が出る人もおり、これらを総称してアレルギー性鼻炎と呼んでいます。

漢方は、長期間飲んで、体質改善する薬だというイメージをもっている人も多いのですが、対症療法的に症状を抑える目的で使うことも可能です。

まず、鼻水の症状がひどい場合には、小青竜湯(しょうせいりゅうとう) または、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)がよいでしょう。
これは、慢性鼻炎や蓄膿など鼻の疾患によく用いられる漢方薬です。

花粉症の人は、花粉が飛びはじめる前の1月下旬から2月上旬を目安に、飲み始めると効果的です。症状が軽くすんだり、花粉の季節も比較的楽に過ごすことができるはずです。

成人であれば冷えや胃腸に効果的な漢方薬を使って体質改善を

本腰を入れて、体質改善をすれば、アレルギー性鼻炎や花粉から開放されます。うっとおしいくしゃみや鼻水からも開放されます。
体質改善を目的に治療する場合は、こまかい診察で問診が必要になりますので専門医を受診します。

エアコンなどの冷気刺激だけでアレルギー症状が出てしまう場合には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)が有効です。
こういった冷えが強い人は、体質のベースにある冷えがさまざまな不調の引き金になっているケースが多いのです。当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、末梢血管を拡張する働きがあり、温める作用が強い漢方薬です。

冷えが改善されると鼻炎症状も軽減し、全身状態も改善されていきます。胃腸虚弱な人は脾の状態を改善すると、アレルギー症状が緩和します。
腸が弱い人は、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、胃が弱い人は、六君子湯(りっくんしとう)を服用します。

小児は小建中湯(しょうけんちゅうとう)で体質改善

中学生くらいまでのお子さんであれば、大人に比べて比較的薬効が出やすく、症状の軽減も体質改善も比較的楽にできます。早めに漢方治療をおこなったほうがいいでしょう。
胃腸の弱いお子さんであれば、小建中湯(しょうけんちゅうとう)黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)が有効です。お腹が弱いと栄養吸収が正常にできずに成長も遅れる場合があります。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)と黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)は、胃腸を丈夫にする働きのある漢方薬です。

小学校高学年~中学生くらいまでのお子さんの慢性化してしまったアレルギー症状には、柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を試すといいでしょう。

漢方薬による体質改善もとても大切ですが、くしゃみ、鼻水、などのアレルギー症状は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンとなる物質が体内に入らなければ、症状はでません。花粉が飛ぶ時期には、マスクをしたり、外出を控える、こまめに清掃するなども忘れてはなりません。

サプリによる花粉症の改善なら、こちら。

アトピー性皮膚炎

重症であれば黄連解毒湯(おうれんげどくとう)で抑える

小さなお子さんのアトピーで悩んでいるお母さん達も非常に増えています。調査によれば、乳幼児の3人に1人が、3歳までにごく軽症のものを含めたアトピーを経験するといいます。
近年では、成人になって突然発症したり、就職後に再発するなど大人のアトピーも増加しています。

根拠のない治療情報も氾濫してしまっているのが現状です。安易に「治る」という情報に飛びつくのはやめたほうがいいでしょう。

アトピー性皮膚炎の漢方治療は、対処療法と体質改善の2本立てで行うのが効果をもたらします。かゆみ、ジクジク、痛みなどのひどい時期には、症状を抑えることを優先した対処療法寄りの漢方薬を使用。症状が落ち着いてきたら体質改善の薬を優先的に使用し、アトピー体質を根本的に改善します。

対処療法では、2~3歳までの乳幼児で、顔から頭にかけて赤みの強い湿疹が出ている場合、は治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)を用います。
患部がジクジクして真っ赤になっているときには、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を処方します主成分の石膏には、乾かして熱をとるという効能があり、早い人では、1~2日程度で症状がとれる場合もあります。
石膏は、胃腸が弱い人には、あまりよくないので、その場合には、服用量を減らすなどします。

じっとしていることも難しいほど、かゆみが強く、熱感もある場合には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を使います。
虫さされなどの症状に古来から用いられてきた漢方薬でかゆに対しての効果に優れています。

体質改善のための処方

体質改善や症状、性格や性癖など患者さんのあらゆる情報(証)を元に処方します。
胃腸が弱い幼児には、小建中湯(しょうけんちゅうとう)黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を用います。これらは、胃腸を改善する漢方薬ですが、気力の低下、腹痛などがみられる場合は、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、寝汗などがある場合には、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を用います。

学童期の子供であれば、免疫調整作用のある漢方薬で体質改善をはかります。薬物、食物アレルギーがある、化膿しやすいなどの体質であれば、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) を使用。扁桃腺も弱く、風邪をひくとまずは喉が痛くなる場合には、柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)が効果的です。

年齢に関係なくイライラしがちな人は、抑肝散(よくかんさん) を用います。感情を抑制する薬ですので、すぐ怒る、短気、こめかみが痛い人などに適した処方です。

成人の場合は、血と気の乱れを整える

近年は、成人の方のアトピーも増加していますが、原因は未だに不明です。
東洋医学的に見ると、女性は、淤血(おけつ)、男性はストレスによる気虚が関係しているようです。淤血(おけつ)以外に血の乱れによる血虚という状態があります。
疲れやすい、肌が乾燥する、爪がもろい、髪の毛が抜ける、不眠…といった症状が血虚の徴候です。血虚の改善には、温清飲(うんせいいん)が効果的です。

気虚を改善したい場合には、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)が有効です。十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、心身疲労状態に効果があります。

アトピー性皮膚炎の症状は、悪化する時期とやや落ち着く時期とがあります。極端に重症な状態の時期は、かきむしって悪化させないためにもステロイド剤を使うほうがよいでしょう。ステロイド剤も節度を守って使用するのであれば、副作用も心配いりません。
少し落ち着いてきたら使用をやめ、肌にうるおいを与える尿素やワセリンに切り替えるといいでしょう。
その後に、漢方薬を使って体質改善するのが一番よい方法です。


肥満

肥満度を正確に測定

現代人は、どうしても食べ過ぎ傾向ですが、運動不足の習慣が続くと、体の健康バランスを崩してしまう。健康バランスが崩れると、肥満は加速し、太りやすい体質になってしまいます。

肥満をそのままにしておくと、糖尿病や高血圧症、心筋梗塞、痛風などの誘因になります。こうした病気にならないうちに治療しておきます。
実際の治療は、減食療法(カロリー制限)と運動になります。ごくごく当たり前のことを行います。これに漢方を組み合わせれば非常に高い効果が期待できます。
病気等で運動ができなくても肥満の改善が行えます。

漢方治療の前に正確な体重を測定することが大前提です。自分の肥満の度合いを調べます。BMI値は22が一番健康的で長生きできるといいます。
BMI指数=体重÷〔身長×身長(m)〕
20~23が標準体重、24~25がやや太り気味、26以上が肥満と診断されます。

BMI値を知った上で健康診断を受け、血糖値や血圧、総コレステロール値など、問題がなければ生活習慣病があらわれる前に肥満体質を改善します。

血の巡りが悪くむくんでしまう場合には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

肥満には、かた太りと水太りの2つのタイプのほかに最近では、血行不良によってふくんで太る、むくみをが増えています。
かた太り型の処方は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) と大柴胡湯(だいさいことう)です。赤ら顔ののぼせタイプ、便秘気味で尿量が少ない人には、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) を用います。
大柴胡湯(だいさいことう)は、体格がよく、便秘気味、イライラすると食欲が異常に高まり、空腹時には、みぞおちが張って硬くなる人に用います。

体力のないぽっちゃりとした色白型で大汗をかくわりに小水がでにくく、下肢にむくみがある人に効果的なのが、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。九味檳榔湯(くみびんろうとう) もむくみ、腹部膨満感、息切れ、便秘の人には用います。

最近では、エアコンなどの使用で、内外の温度が極端にあり、これが原因の血行障害も増えています。こうした血行不良のむくみ太りには、苦淤血(おけつ)剤の桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) を用います。
虚弱体質で貧血気味であれば、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を併用します。

内臓脂肪肥満型にも皮下脂肪肥満の処方が効果発揮

肥満は、西洋梨のような形をした皮下脂肪型と上半身が太っているリンゴ形の内臓脂肪肥満に分かれます。
外見や体位の数値では、肥満がなくとも、内臓脂肪が蓄積すれば、糖尿病、高脂血症、高血圧症などが合併しやすく、合併すると加速度的に動脈硬化に進展します。したがって糖尿病、高脂血症、高血圧症、内臓脂肪型の4つを重要な症状として認識しるようになりました。従来の皮下脂肪型の肥満が生活習慣病の誘因であった以上に内臓脂肪型肥満は、さらに深く関わっているという考え方は、定説となっています。
肥満の西洋薬による治療は未だに確立されていないのが現状です。
これからは、漢方に寄せられる期待が大きくなることは間違いありません。

高血圧症

釣藤散(ちょうとうさん)や黄連解毒湯(おうれんげどくとう)で症状を改善する

高血圧には、本能性高血圧と、腎症や内分泌などに原因がある二次性高血圧に分類されます。

不摂生な生活習慣によって起こる原因は、本能性高血圧。高血圧は、糖尿病などと同じで、未病の段階や軽症だと自覚症状がほとんどなく気づくことができません。
頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、手足のしびれ、不眠といった自覚症状がでてきたときには、すでに悪くなっているケースも多くこのあたりも糖尿病と似ています。

高血圧症をほうっておくと、脳血管障害や心筋梗塞などの原因になるため、治療は早く開始したほうが予後がいいのも確認されています。

降圧剤を飲むほどではない場合には、釣藤散(ちょうとうさん)が有効

高血圧症の治療で最優先されるのは、適当な器官に確実に適切な血圧まで下げることです。とくに中等程度、重症の場合は、しっかりとさげる必要があり、それには西洋薬の降圧剤も併用します。
漢方の役割は、高血圧によって起こる症状をとり、ストレスを除くことです。
釣藤散(ちょうとうさん)は、早朝の頭痛、胃もたれ、のぼせ、耳鳴り、抑うつ傾向に用います。
降圧剤を飲むほどではない境界型に有効です。また、血圧のコントロールが困難で、頭痛などの症状がとれない場合にも有効です。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、赤ら顔でイライラやのぼせがあり、興奮してカッとなりやすい人向きです。
柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、交感神経の過度の緊張による動悸、肩こり、不眠、便秘、ストレスのある人に効果大です。柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、血圧が下がるだけでなく、自覚症状も改善。また冠動脈の動脈硬化を抑える効果もあります。

性別・年齢で使い分ける

更年期から血圧が上昇する女性には、加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)で血流を改善します。
また、高血圧でフラフラして倒れそうなふわふわ感、めまい、血圧が高いにもかかわらず起立したときに下がる「起立性低血圧症」の人に用います。
真武湯(しんぶとう)は、高血圧の人は下げ、低血圧の人は上げるという作用があるのはすばらしいところです。

西洋薬の場合、降圧剤をやめてしまうとすぐに血圧は上昇しますが、漢方薬は中止しても正常な血圧を維持することができる場合が多いのも特徴です。ただし、西洋薬を使わなくてはいけない症状がでている場合には、西洋薬を使います。

生活習慣などで血圧を下げる方法はこちらが参考になります。
生活習慣などにも血圧を下げる効果が多数ありますので、少し心がけるだけでも効果は絶大です。

糖尿病

定期検診による血糖値測定が大切

現在、糖尿病の患者数は、約 740万人と推計されています。生活習慣病の中でも合併症が怖い病気でもあります。40歳以上の10人に1~2人の割合です。実際に治療を受けている人が250万人程度。現在は、それほど問題なくても今のままの生活を続ければ高い頻度で糖尿病になる耐糖能異常を合わせると、1400万人にもなります。

健康診断などで糖尿病あるいは、その疑いがあるといわれても放置したままの人が異常に多いのは、初期の自覚症状がほとんどないからです。
ところが放っておくと全身にわたってさまざまな合併症が起こります。とくに3大合併症といわれている網膜症、腎症、神経障害が起こります。
これらが共通しているのは、細い血管の障害ですが、これと同時に太い血管にも及び、やがて心筋梗塞、脳血栓などの動脈硬化にすすみます。

初期で体力があるのであれば大柴胡湯(だいさいことう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

糖尿病の予防は、悪い生活習慣を改めること。なかでも食養生(食事療法)と運動が基本であり、とても重要です。発病してもこの食事と運動療法は血糖コントロールに欠かせません。これは西洋医学でも同様です。

漢方の役割は、合併症の予防や進展を阻止すること、そして病気の症状である、口の渇き、だるさ、ストレスといった随伴症状を改善することにあります。

漢方薬の処方として昔からポピュラーなのが、八味地黄丸(はちみじおうがん)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)で口が渇き、尿が多く、疲れやだるさ、腰痛などのとき、体力のない虚証の人に用います。
ただし、八味地黄丸(はちみじおうがん)は胃腸の丈夫な人に用います。

発症初期の比較的体力がある人には、大柴胡湯(だいさいことう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、体力が普通程度で口が粘る、下痢や嘔吐の症状がある人は、五苓散(ごれいさん)をすすめます。

こむらがえりには芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 、手足の痛みには桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

糖尿病の合併症のひとつに神経障害があります。細小血管障害による手足のしびれ、冷え、といった自覚症状の改善は、漢方の得意分野でもあります。
桂枝茯苓丸料(けいしぷくりょうがん) や桃核承気湯(とうかくじょうきとう) は淤血(おけつ)に伴って起こる肩こり、頭痛、めまい、足の冷えなどに効果的。
この二つの薬は、いずれも月経困難症などの血のめぐりを改善するものですが、桃核承気湯(とうかくじょうきとう) は便秘の人向きです。
こむらがえりには、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 、これは即効性が期待できます。西洋薬よりも効き目があるといいます。
痛み止めには、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、五積散(ごしゃくさん)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)がおすすめです。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)は、痛みが強く、発汗傾向で、足が冷える人に。
五積散(ごしゃくさん)は、体力がなく、青色が悪く、上半身がほてっているのに、下半身が冷えている人向きです。
これらは、体を温める痛み止めです。西洋医学では解熱鎮痛剤は体を冷やしますが、漢方は、逆に温めることで全身状態を改善します。

腰痛

なかなか改善しない腰痛も漢方なら改善可能。まずは、淤血(おけつ)や冷えをとる。

女性の腰痛の25%は子宮、卵巣などの婦人系の疾患が大きく関連しています。骨粗鬆症からくる腰痛も多いのが現状です。
骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムが抜け、すが入ったように、骨がもろくなる病気です。専門的には、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いことにより、骨に小さな穴が多発する症状です。閉経後に発症しやすく60代後半にもなると約半数の人が骨粗鬆症だという報告があります。

骨粗鬆症以外では、腎臓結石、膀胱炎、腰椎の変形や椎間板ヘルニアなどでも腰に痛みを生じます。

腰痛の原因となる疾患は、多岐にわたるのが特徴です。痛みがひどい場合などは、まずは検査で原因をつきとめることが最優先となります。

しかし、検査をしても特に異常が見あたらないケースも多いのです。このような場合には、運動不足、筋力の低下、姿勢、疲労、腰椎の老化などの要因が複雑に絡み合っている場合が多いようです。

とくに腰を支えている腹筋の衰えや老化は、腰痛を引き起こす大きな原因です。ラジオ体操やウォーキングなどを継続することで改善するケースが多く運動不足が指摘されています。イスなどに座って足を上げ下ろしするだけでも腹筋を使いますので、簡単に腰痛改善することができます。

中高年は、八味地黄丸(はちみじおうがん)

漢方では、腎の働きが低下すると腰痛が引き起こされると考えています。腎臓の機能が低下した状態は、「腎虚」といい、内分泌系や泌尿器系、生殖器系の働き、下半身の筋力などの低下、総合的には、生命エネルギーの衰えを意味します。
特徴的な症状は、精力減退、下肢の脱力感、視力の低下、排尿障害などがあります。
腎臓に用いられる漢方の代表は、八味地黄丸(はちみじおうがん)ですが、腎虚の症状以外にも、疲労感、倦怠感、冷え、しびれ、夜間排尿などに有効です。

冷え、痛みがより強い場合には、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が適しています。

これらの処方には、地黄(じおう)という生薬が含まれており、胃の弱い人や極端に体力が落ちている人が飲むと、食欲低下や胃痛を起こすことがあります。

冷えよりも手足のほてりが気になり、ややむくんでいるような場合には、六味丸(ろくみがん)が効果的です。

女性なら当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が効果的

女性は、淤血(おけつ)が腰痛の要因となることがあります。淤血(おけつ)を改善するときは、駆淤血剤(くおけつ剤)と呼ばれる漢方薬を使用します。桃核承気湯(とうかくじょうきとう)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の3つを使います。使い方の目安は次のとおりです。

体力があり、のぼせて便秘がちな人には…桃核承気湯(とうかくじょうきとう)。精神安定の作用もあります。

中程度の体力で、赤ら顔、下腹部に抵抗のある人には…桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。舌や唇の色が悪い場合によく使用します。

体力がなく虚証の人には…当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。疲れやすい、めまい、むくみといった症状がある人に適します。一般的な腰痛だけでなく、生理時の腰痛にも効果があります。

ぎっくり腰にも漢方を

ぎっくり腰がくせになってしまっている人もいるかと思いますが、痛みがあまりに強烈なことからドイツでは「魔女の一撃」とも呼ばれています。
ぎっくり腰になったら、まずは安静に。静かに横になっていることです。こうした急性期の痛みを和らげるのは、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) です。体質などによる区別はなく痛みのあるときだけ使うことが可能です。