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肝臓疾患

がんへの移行を抑制

肝臓が悪くなる原因はさまざまですが、日本で多いのは、ウイルス性肝炎と肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝です。

ウイルス性肝炎には、A型、B型、C型などの複数タイプがあります。A型は、急性肝炎を起こし、慢性化することはありません。
B型は、慢性化したり、細胞が広範囲に壊死して、機能不全に陥ることもあります。これは劇症肝炎といいます。
C型は、慢性化することが多く、肝硬変やがんへ移行することが多く、注意が必要です。

脂肪肝が増加している理由は、食習慣の欧米化、飲酒、運動不足、肥満などによるものです。脂肪が肝臓に蓄積すると、細胞の一部が線維化して肝機能が低下し、長い経過をへてまれに肝硬変を移行する場合もあるので注意が必要です。

脂肪肝は、糖尿病や高脂血症の合併症としてあらわれることもあります。一般に漢方薬の治療対象となるのは、慢性肝炎です。

肝臓には柴胡(さいこ)が使われる

ウイルス性肝炎のなかで急性肝炎と劇症肝炎は、西洋医学的治療が優先され、漢方薬は、補助的な使用となります。

脂肪肝に漢方を用いることもありますが、食生活の改善、運動、体重の減少、アルコールの制限などを同時に行うことが不可欠です。
薬だけに頼るのではなく生活習慣、食習慣も徹底的に見直します。

慢性肝炎には、インターフェロンという西洋薬が使用されますが、効果が得られない例も後をたちません。
こうした人でも漢方薬でかなり改善される例があります。

慢性肝炎には補中益気湯(ほちゅうえつきとう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を

肝臓には、柴胡(さいこ)剤、一般にはこれが基本の処方となります。柴胡(さいこ)剤とは、柴胡という生薬を主成分にした漢方の総称です。柴胡には肝障害の改善、インターフェロンの誘起作用などがあります。また免疫力を高める作用もあり、肝臓にトラブルをかかえた人には効果の高い生薬です。

肝臓には、小柴胡湯(しょうさいことう)が効くと言われていた時期がありましたが、体質も症状も無視して小柴胡湯(しょうさいことう)を飲む人が多くいて、効果が得られないだけでなく、副作用がでてしまったことが問題になりました。

漢方薬は、体力、体質、症状などを総合的に判断し、証に合ったものを使わなければ、効果は得られません。

体力があり、体格もよく便秘気味、肩こりやみぞおちなどの張りある人は、大柴胡湯(だいさいことう)が有効です。

体力があり、不眠やイライラなどの症状が気になる人は、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が適します。
この漢方を服用すると精神的にも安定してきます。

普通程度の体力で、ある中間証の人に合うのが小柴胡湯(しょうさいことう)です。肩こりやみぞおちの張りがややあり、起床時に口の中に苦みを感じる、また、口の中が粘るなどの症状がある場合に使用します。

体力が落ちている人は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がいいでしょう。口の渇き、疲れやすさ、冷え、貧血傾向があることが目安となります。

体力がない、疲労感が強い、気力も出ないなどの人には、補中益気湯(ほちゅうえつきとう)がよいでしょう。

肝臓疾患で肝機能が低下すると、胆汁が正常に分解・排泄できずに皮膚や粘膜が黄色くなることがあります。黄疸という症状です。

黄疸が合併したときは、柴胡(さいこ)剤に加えて、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)または茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。
どちらも胆汁の流れを改善する作用を持つ漢方薬です。
体力が比較的あり、便秘傾向の人は、茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)を。体力が低下気味でのどが渇いて水分を摂取する割りには、尿の出が悪い、肝硬変に近い状態で腹水が溜まるなどの場合には、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)を使用します。

淤血(おけつ)の傾向の人は、淤血(おけつ)を改善する漢方薬を柴胡(さいこ)剤と組み合わせます。

比較的体力もあり、のぼせなどの症状がある人は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう) を、体力普通程度で赤ら顔、下腹部に抵抗のある人には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 、体力がなく、疲れやすい、めまいやむくみがある、足腰が冷えるという人は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を使います。

また、冷え・のぼせや不定愁訴がある人には、柴胡を含み、淤血(おけつ)剤でもある加味逍遥散(かみしょうようさん)が効果的です。

肝臓は、体内の血液の1割を貯蔵し、全身の血液を調整、栄養分を代謝するなどの働きを担っています。
肝疾患があるときは、血液をよい状態に保ち、それらの機能を低下させないことが大切です。