糖尿病は進行度合いで注意することが異なる

初期の頃~重症度に合わせて糖質制限の幅も異なる

糖尿病は発症した段階で合併症ははじまっている

糖尿病の治療の根幹は、合併症を起こさないこと、起こったらすぐに治すことにあります。

ところが、糖尿病の患者さんには、「糖尿病がひどくなつたものが合併症」という認識しかなく軽視している人が多いです。中でも糖尿病予備群(境界型)と呼ばれる人たちに、その傾向が目立ちます。

こうした考えでは、合併症は防げません。「危なくなったら、治療をまじめにやろう」では、ほとんどが手遅れです。糖尿病が発症したときから並行して、合併症という別の病気が始まっていると考えなければいけません。

血糖コントロールをしていた人たちには合併症の発生が明らかに少なく、糖尿病が悪化してから血糖コントロールをはじめても合併症の発生には歯止めがかからずその後の心臓血管の発生も多いことがわかっています。糖尿病の合併症を予防するためには発症と同時に血糖コントロールを始めなければいけないのです。

糖尿病の進行度に合わせた6つのステージ

糖尿病の患者さんが合併症の発生や藩化を防ぐためには、血糖値やヘモグロビンA1Cの変化に注目するだけでなく、まずは自分の糖尿病の進行度(ステージを明確に知る必要があります。糖尿病の進行度は、以下の6つのステージに分けられます。

  • ステージ1(糖尿病予備群)境界型
  • ステージ2(糖尿病のみで合併症なし)
  • ステージ3(軽度の糖尿病の合併症がある)
  • ステージ4(中等度の糖尿病の合併症がある)
  • ステージ5(重度の糖尿病の合併症がある)
  • ステージ6(人工透析が必要な糖尿病)

まず、空腹時血糖値(前の日の最後の食事から10時間以上絶食した時点の血糖値) を測り、これが110mg/dl未満なら正常、126mg/dl以上ならステージ2以上の糖尿病と判定されます。

空腹時血糖値が110mg/dl~126mg/dl糾未満の人は、ステージ1の糖尿病予備群かステージ2以上の糖尿病の可能性が出てきます。この場合は、ブドウ糖負荷試験30分ごとに5回、血糖値とインスリン値を測定を受けてもらいます。ブドウ糖負荷試験では、飲んだ直後の血糖値が一二六㌢山以上か、または二時間後の血糖値が二〇〇㌢糾以上なら、やはりステージ2以上の糖尿病と判定されます。

ステージ2以上と判定されたら、今度は尿アルブミン値の検査が必要になります。尿アルブミン値とは、尿中にもれ出たたんばく質の一種の量施調べることで血液をろ過する腎臓の機能低下をいち早く見つける大切な検査です。

尿アルブミン値が19mg/dl未満なら、合併症が起こってていないステージ2。19~30mg/dl未満なら、軽度の合併症が起こっているステージ3です。

尿アルブミン値が30mg/dlを超えるようになったら、中等度の合併症が起こっているステージ4の可能性が出てきます。

その場合は、血清クレアチニン値を測る必要があります。クレアチニンは老廃物の一種で、腎臓の機能が正常時の半分以下になると、血液中に増えてきます。

具体的には血清クレアチニン値が1.1mg/dl未満ならステージ4、1.1~8.0未満ならステージ5、8.0mmg/dl以上ならステージ6です。

声を大にしていいますが、まだ合併症が始まっていないステージ1と2 の段階なら、糖質制限食と運動を中心とした血糖コントロールで糖尿病の悪化や合併症の発生を防ぐことができます。

軽度の合併症ならまだ治せる可能性がある

しかし、合併症が生じはじめたステージ3以降は、血糖コントロールと並行して、合併症の進行を食い止める治療が必要となってきます。ステージ3 であれば合併症はまだ軽度なので、糖尿病そのものは治せなくても合併症は治せる可能性が十分にあります。

さらに、ステージ4 に達すると、どんなに治療をしても糖尿病腎症は治せなくなり、ステージ5に進んでしまうと神経も目も腎臓もかなり傷んでいるので、進行をできるだけ遅らせる治療が中心になります。そのまま治療を怠っていると、4~5年でステージ6 へと進み、人工透析がさけられなくなってしまうのです。

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