活用術
さまざまなシーンでの水の活用術を紹介。
「白ワインを発砲水で割る」「水だしコーヒーにこだわる」の紹介。白ワインを発砲水で割る
日本ではウイスキーを水割りにして飲むのが一般的です。ウイスキーやジン、焼酎といった蒸留酒は、そのままではアルコール度数が高すぎて、アルコールに弱い体質の人が多い日本人には不向きです。そこで水で割ることによってアルコール度数を下げ、飲みやすくするのです。
お酒に強いこだわりを持つ人の中には、バーボンならソーダ割り、スコッチは水割りという好みが多いようです。
バーボンのクセの強い味には刺激の強い炭酸水が、スコッチのまろやかさを生かすには軟水が合う、というわけです。
また反対に「スコッチには硬水が合う」というウイスキーの専門家もいるそうです。スコッチの本場であるイギリスには、水割りという習慣はありません。
だいたいはストレートのウイスキーと、チェイサーと呼ばれる水を別々に飲みます。その方がウイスキーの味がよくわかるからです。このチェイサーに使う水は、ウイスキーの仕込みに使われる自然水がウイスキーとの相性がいいとされています。
一方、日本酒やワインといった醸造酒は、日本では水で割るということをあまりしません。
それはもちろん、アルコール度数が低くそのままでも十分飲みやすいからであり、また、水で割ることで日本酒やワインの味が薄められ、壊されてしまうからです。
しかし、意外なことにヨーロッパ諸国、特にドイツの南部では、ワインを水で割って飲む習慣があります。最もポピュラーなのは白ワインを発泡水で割ることです。
ドイツには硬度が高く、炭酸の泡が強いミネラルウォーターが多いのですが、こうした個性の強い水だと、ワインを割っても薄まった感じがあまりしないし、長い間酔いが持続するわりに後に残らないのだとか。ワインと水を一緒に飲むことは利尿作用を高め、二日酔いの原因となるアセドアルデヒドという物質を体外に出すのを助けますから、お酒の弱い人や、つい飲みすぎてしまいがちな人にはおすすめです。
コーヒー好きなら「水だしコーヒー」にこだわる
コーヒーのいれ方の好みは人それぞれ異なります。ところが、「ア イスコーヒーにするなら、やはり水出しが一番うまい」は共通しています。
19世紀に旧オランダ領のインドネシアで誕生したことから「ダッチコーヒー」とも呼ばれる水出しの技術は、熱湯のかわりに常温の水滴を使い、時間をかけて抽出することから、コーヒーの 渋みの原因であるコーヒー豆に含まれる脂肪分がほとんど溶解せず、また酸化しにくいため濁りが出ないことが、最大のメリットといわれています。当然、味も文句なしで人気です。
これまではコーヒー専門店、それもこだわりを持つ店でしか飲めなかった、この水出しコーヒ ーですが、最近では家庭用の「水出しコーヒーポット」 が市販されていることもあり、一般家庭 でも飲まれるようになってきました。
本格派の水出しコーヒーをいれるのに最も大切なのは豆。種類は酸味よりも苦味の強いマンデリンなどが適していますが、それより大事なのはローストの度合い。
やはりフレンチローストや イタリアンローストといった深煎りのものが向いています。そして挽き方も微粉状態になるくら いに細かくないと、抽出されません。ここまで細かく挽くと、短時間のうちに香りが失われてし まうので、できれば使う直前に挽くようにします。
そして、肝心の水ですが、これは軟水のミネラルウォーターがベスト。水道水やクセの強い硬 水を使うと、コーヒー豆の繊細な香りが死んでしまうからです。抽出時間はコップ1杯分でも最低 1~2 時間は必要。いい水でじっくりと抽出することで、コーヒー本来の甘みや深い味わいが 引き出せるのです。せっかく水にこだわったらいれかた、コーヒーの銘柄にもうるさくなればよりおいしいコーヒーが楽しめるでしょう。