ThinkPad P43s レビュー デメリット レノボ 14 型モバイルワークステーション

Lenovo ThinkPad P43s レビュー 実機レビュー メリット スペック 仕様 性能 おすすめユーザー よくある質問をまとめた完全ガイド。 14 型のモバイルワークステーション で 2019 年 7 月に発売。
ThinkPad P43s レビュー
hinkPad P43sは、レノボが「モバイルワークステーション」のエントリークラスとして市場に投入したモデルだ。ThinkPad Tシリーズ譲りの薄型軽量な筐体(約1.49kgから)に、プロフェッショナルなグラフィック処理を担うNVIDIA Quadro P520などの専用GPUを搭載している点が最大の特徴。
その真価は、外出先でもCADや画像処理といった専門的なクリエイティブ作業を安定して行えることにある。高い携帯性を保ちながら、ワークステーションの信頼性と優れたキーボードというThinkPadの美点を継承するP43sが、モバイルプロフェッショナルにとって最高の選択肢となる理由を解説する。

実機レビューと性能
性能とグラフィックス
P43sは、CPUに第8世代または第10世代のIntel Coreプロセッサーを搭載し、一般的なビジネス用途では十分すぎるパフォーマンスを発揮する。しかし、本機の真価はグラフィックスにある。標準でNVIDIA Quadro P520などのプロフェッショナルGPUが搭載されており、これはAutoCADやSolidWorksなどのISV(独立系ソフトウェアベンダー)認証を受けているため、ビジネス・クリエイティブ用途の専門的なアプリケーションを安定して動作させられる。
Tシリーズ譲りの薄型筐体でありながら、軽度から中程度の3Dグラフィックス処理や、大規模なデータセットの処理に対応できるのが強みだ。
筐体と携帯性
ThinkPadらしい堅牢なデザインと、高い携帯性を両立している。重量は約1.49kgからとなっており、一般的なワークステーションと比べると非常に軽く、日常的に持ち運びが可能だ。キーボードはThinkPadの代名詞とも言える優れた打鍵感を持っており、長時間のタイピング作業も苦にならない。
拡張性と冷却
メモリはオンボードに加え、SO-DIMMスロットがあり、最大48GBまで拡張可能だ。ストレージも高速なM.2 SSDを採用している。薄型筐体のため、負荷の高い作業を長時間続けるとファンの音が大きくなることがあるが、ワークステーションとしては許容範囲の冷却性能を持っている。
メリットとデメリット
メリット (良い点)
- プロフェッショナルGPUの搭載: NVIDIA Quadro P520などのプロ向けGPUを搭載しており、ISV認証を受けた専門アプリケーションを安定して利用できる。
- 優れた携帯性: 約1.49kgからの軽量設計で、一般的なモバイルワークステーションより遥かに持ち運びやすい。
- 最高のキーボード: ThinkPad伝統の打ちやすいキーボードは、長文入力やプログラミング作業において高い生産性を発揮する。
- 高い拡張性: メモリは最大48GBまで拡張可能で、将来的なアップグレードにも対応できる。
- 高い信頼性: ThinkPad特有の堅牢性と耐久性を持ち、ビジネスでの使用に耐えうる。
デメリット (気になる点)
- エントリークラスの性能: ワークステーションとしてはエントリークラスであり、非常に負荷の高いレンダリングや大規模なシミュレーション作業には力不足を感じる場合がある。
- ディスプレイの選択肢: 標準ディスプレイの品質は一般的なノートPC並みであり、特に色精度を重視する場合は上位の4Kディスプレイオプションを選ぶ必要がある。
- Thunderboltの制限: 搭載されているThunderboltポートが、一部の最新世代の周辺機器との相性や速度で制限を感じる場合がある。
- ファンノイズ: 負荷が集中すると、薄型筐体ゆえに冷却ファンが強く回転し、ノイズが気になることがある。

- ディスプレイ: 14.0型 FHD (1920×1080) または WQHD (2560×1440)、4K UHD (3840×2160) IPS液晶(モデルによる)
- CPU (プロセッサー): 第8世代または第10世代 Intel Core i5/i7
- グラフィックス (GPU): NVIDIA Quadro P520 (GDDR5 2GB) または内蔵グラフィックス
- メモリ (RAM): 最大48GB(オンボード+SO-DIMMスロット)
- ストレージ: M.2 PCIe NVMe SSD
- インターフェース: Thunderbolt 3、USB 3.1 Gen 1 Type-A、HDMI、有線LAN (RJ-45)、microSDカードリーダーなど
- セキュリティ: ThinkShutter、指紋認証リーダー、TPM 2.0
- 質量: 約1.49 kg~(構成による)
おすすめユーザーとよくある質問
おすすめユーザー
- モバイルCAD/画像処理ユーザー: 現場や顧客先で軽度なCADデータの確認や修正、Adobe Photoshop/Illustratorなどのクリエイティブ作業を行いたい人。
- エンジニア/開発者: ISV認証の安定性を求め、高性能なCPUと優れたキーボードでプログラミングや開発作業を行いたい人。
- ThinkPadファン: ThinkPad Tシリーズの優れた筐体とキーボードが好きで、さらにグラフィックス性能を強化したいと考える人。
よくある質問
Q1. ゲーミングPCとして使えるか?
A1. P43sはプロフェッショナル用途に特化したQuadro GPUを搭載しており、ゲーム用途に最適化されていない。一般的なビジネスノートよりは性能が高いものの、同価格帯のゲーミングPCと比べるとゲーム性能は劣る。
Q2. メモリは自分で増設できるか?
A2. P43sはオンボードメモリに加え、空きのSO-DIMMスロットがあるため、ユーザー自身でメモリを増設し、最大48GBまで拡張することが可能だ。
Q3. 発熱やファンノイズはどうか?
A3. 薄型筐体にプロ仕様のGPUを搭載しているため、GPUやCPUに負荷が集中する作業(レンダリングや解析など)を行うと、ファンが高速で回転し、ノイズが発生しやすくなる。これはモバイルワークステーションの特性上、ある程度仕方がない部分だ。
Q4. Thunderbolt 3ポートは外付けGPU (eGPU) に対応しているか?
A4. Thunderbolt 3ポートを搭載しているため、理論上は外付けGPUボックス(eGPU)に対応している。ただし、動作の安定性や性能はeGPUボックスやドライバーの相性に依存するため、必ずしも推奨される使い方ではない。