尿路結石 漢方薬 選び方 痛み止めと併用で使う

尿路結石 漢方薬 選び方 痛み止めと併用で使う方法を紹介します。尿路結石の漢方薬として、猪苓湯(ちょれいとう)と芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)はよく用いられます。それぞれの特徴と、それらをどのように使い分けるか、あるいは併用するかについて解説します。尿路(にょうろ)とは体内でつくられた尿が体外へ排出されるまでの通路のことで、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道がそれに当たります。そして、この尿路の間に石ができることを結石(けっせき)といい、石が引っかかったり、詰まったりすることで起こる障害が尿路結石(にょうろけっせき)となります。
尿路結石 漢方薬 選び方
重要な注意点:
漢方薬は体質や症状によって効果が異なります。自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な診断と処方を受けてください。特に尿路結石は激しい痛みを伴うことが多く、適切な診断と西洋医学的治療も並行して行うことが重要です。
猪苓湯(ちょれいとう)
特徴と効果:
- 利尿作用と消炎作用: 猪苓湯は、尿量を増やし、尿路の炎症を抑える作用があると言われています。これにより、結石の排出を促し、排尿時の痛みや残尿感を改善する効果が期待されます。
- 尿路結石に対する第一選択薬: 尿路結石に用いられる漢方薬としては、第一選択的な処方として挙げられることが多いです。
- 排石促進効果: 小さな結石(5mm以下)の自然排石を促進する効果が報告されています。上部尿管結石の排石促進にも有効であるという報告もあります。
- 適応症状: 尿量が減少し、尿が出にくい、排尿痛、あるいは残尿感がある症状に適しています。血尿を伴う場合にも用いられることがあります。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
特徴と効果:
- 鎮痙作用(痛みの緩和): 芍薬甘草湯は、特に筋肉の痙攣や、それによる痛みを緩和する作用が強いことで知られています。尿路結石による激しい疝痛(せんつう、差し込むような痛み)に対して、鎮痛効果が期待できます。
- 尿管の弛緩作用: 尿管を弛緩させ、結石の通過をスムーズにする作用もあるとされています。
- 即効性: 頓服(痛い時に飲む)として用いられることが多く、比較的即効性が期待できます。
注意点:
- 長期服用に注意: 芍薬甘草湯は、長期にわたって漫然と服用すると、むくみなどの副作用が出ることがあるため、痛みが治まったら服用を中止するなど、医師や薬剤師の指示に従う必要があります。
2つの漢方薬の使い分け・併用方法
尿路結石の治療において、猪苓湯と芍薬甘草湯は以下のように使い分けたり、併用したりすることが考えられます。
- 激しい痛みがある時:
- 芍薬甘草湯を頓服: 尿路結石による激しい痛みが現れた場合、まず芍薬甘草湯を頓服として服用し、痛みを緩和します。西洋薬の鎮痛剤に相当する役割を果たすことがあります。
- 例: 痛みが強い時に1袋服用し、効果がなければ数時間おきに追加で服用する(上限量は医師の指示に従う)。
- 排石促進と日常的なケア:
- 猪苓湯を継続服用: 痛みが落ち着いた後や、結石の排出を促したい場合に、猪苓湯を継続的に服用します。猪苓湯は、利尿作用や消炎作用により、結石の自然排石を助け、尿路環境を整えることを目指します。
- 例: 医師の指示に従い、1日3回服用するなど。
- 併用:
- 猪苓湯と芍薬甘草湯の併用: 尿路結石の痛みが断続的にある場合や、排石を促しながら痛みをコントロールしたい場合には、猪苓湯と芍薬甘草湯を併用することがあります。例えば、痛みが激しい時に芍薬甘草湯を頓服しつつ、普段は猪苓湯を服用するといった方法です。
- 猪苓湯合芍薬甘草湯: 猪苓湯と芍薬甘草湯を合わせた「猪苓湯合芍薬甘草湯」という処方もあり、これには利水作用と鎮痙作用の両方が期待されます。
漢方薬を選ぶ際のポイント
- 症状の段階: 激しい痛みの発作期なのか、それとも排石を待つ時期なのかによって、優先すべき漢方薬が変わります。
- 体質(証): 漢方薬は個人の体質(「証」と呼びます)に合わせて選ばれます。冷え性、体力、胃腸の状態なども考慮されます。
- 現在の症状: 排尿痛、残尿感、血尿の有無、痛みの性質(激しい痛みか、鈍い痛みか)などを詳しく伝えることが重要です。
医療機関での相談
尿路結石は、放置すると腎機能に影響を及ぼす可能性もある疾患です。漢方薬はあくまで治療の補助的な役割を果たすものであり、西洋医学的な診断(画像診断など)や治療(手術、ESWL:体外衝撃波結石破砕術など)との併用が推奨されます。必ず泌尿器科医や漢方に詳しい医師、薬剤師に相談し、ご自身の症状や体質に合った適切な治療方針を立ててもらうようにしてください。
尿路結石の強烈な痛みを漢方薬だけで鎮めることは難しく、鎮痛剤などに頼らなくてはならないこともあります。しかし、再発する人の体質改善に期待がもてます。
日本人では腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が多く、尿路結石の90パーセント以上を占めているといわれています。結石によって起こるおもな症状には、尿が出にくい、わき腹から下腹部にかけての激痛、尿に血が混じる血尿などがあります。しかし、腎臓に結石がとどまっている状態だと、まったく症状がないケースもあるのです。
加齢や前立腺肥大症などによっても似たような症状が起こりますから、尿の状態がおかしいと思うことがあったら、泌尿器科を受診するとよいでしょう。
尿路に石ができるのは、尿の中のさまざまな成分が沈殿し、それらが徐々に大きくなるためです。結石が大き過ぎると腎臓から尿管に入らないために痛みは少ないといわれ、小さいほうが痛みが強いですが、これは、取り出しやすく治りやすいということになります。
治療しても、尿路結石の再発を繰り返す人がいます。こういった場合には、結石の成分を調べたり、原因になっている病気を調べて治療することが大切です。
自分でできる結石の予防や症状の改善は、食生活や運動が基本になります。食事では、肉類などの動物性タンパク質の量を控えめに、野菜類を多くしたメニューを取り入れましょう。また、ストレスを抱えることも影響するので注意しましょう。
尿路結石の強烈な痛みを漢方薬だけで鎮めることは難しく、鎮痛剤などに頼らなくてはならないこともあります。しかし、再発する人の体質改善に期待がもてます。
- 猪苓湯(ちょれいとう)尿の出が悪く、血尿があって、痛みにも効きます。阿膠(アキョウ)の作用で血尿を止め、滑石(カッセキ)の作用で文字どおり滑りが良くなり、石を排出しやすくします。
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)さまざまな痛みを止めるのに用います。筋肉のけいれんや緊張をほぐすので痛みを抑え、結石の排出に役立ちます。