うつ病 漢方薬 で解決するために

2025/06/20

うつ病 漢方薬
うつ病 漢方薬

うつ病 漢方薬 を使って解決する際にどんな漢方薬を選ぶのが適切でしょうか。 「 うつ病 」 に用いる漢方薬を紹介します。うつ病によく用いられる「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」について、それぞれの特徴と適応を紹介します。

うつ病 漢方薬
うつ病 漢方薬

令和4年に厚生労働省が行った調査では、精神疾患を有する総患者数は約419.3万人【入院:約30.2万人、外来:約389.1万人】となっています。もはや私は大丈夫とは言い切れない数値です。その後もうつ病患者は増加し続けています。

  • からだがだるい
  • やる気がでないなどの症状を感じる方は「うつ病」のサインかもしれません。4月は仕事環境や季節の変化に対応するため、体に強いストレスが加わります。過度なストレスは体の機能を調節している自律神経が乱れてしまい、うつ症状を引き起こします。東洋医学ではうつ症状の原因を気虚(気が虚すること)と表現されます。漢方薬は自律神経の調節や気を補う効果があることがわかっているため、多くの病院で使用されています。

私たち人間は誰でも憂鬱(ゆううつ)になることがありますが、それが病的に激しくなってしまうのが 「 うつ病 」 です。うつの状態になると、特に原因もないのに物事に対してのやる気がなくなり、気分が落ち込み、何をしても楽しめなくて次第にいきいきとした感じがなくなってしまいます。

食欲もわかないようになり、やがては劣等感や絶望感におそわれるようになります。そこに、不安や不眠、便秘などの症状も加わって、1日中ぼんやり過ごすことも多くなったりします。さらにひどくなると、極端に虚無的な感情に支配されてしまい、真剣に自殺を考えるようになります。

脳の機能に障害が起きていることから、さまざまな事を否定的に考えるようになり、自分はダメな人間なんだと思ってしまうのです。

うつ病になりやすいのは、融通がきかないほど真面目過ぎで律儀で、少しのことも妥協できないようなタイプの人ですが、一方では、優しく温和で他人とのつき合いも良いという社交的な面があります。また、遺伝的な素質も関係しています。

厚生労働省がおこなっている調査では、日本ではうつ病を含む気分障害のある人が、近年急速に増えているといいます。特に中年の社会人にうつ病にかかる人が増えていて、自殺の大きな原因にもなっているようです。

うつには2つのタイプがあります。

1つは、うつ状態です。うつ状態は、うつ病のひとつ手前の状態です。
うつ状態になると、抑うつ気分、落ち込み、意欲減退、思考力低下、集中力低下、食欲不振または過食、不眠、ものごとの興味 や関心がなくなるといった症状が現れます。

もう1つは、うつ病です。うつ病とは、うつ状態が二週間以上続いて、日内変動(朝気分が悪く、夕方になると比較的良い)があること、今までに経験したことのないよう なひどい落ち込みが続きます。

うつの原因は、はっきりとは解明されていませんが、その人がもともと持っている「うつ病になりやすい性質」と、「環境的要因によるストレス」が関係していると考えられています。
さらに、脳の神経の情報を伝達する物質の量が減るなど、脳の機能に異常が生じていることも分かってきています。

朝の目覚めが悪くて午前中は何もやる気になれないけれど、午後になると調子が良くなって、夕方から夜になるとすごく元気になる、というような人は、うつ病の初期と考えられます。
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うつ病と漢方薬:半夏厚朴湯、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯によるアプローチ

うつ病の治療において、漢方薬は心身のバランスを整え、症状の改善を目指す選択肢の一つです。西洋医学的な治療と併用されることも多く、個々の体質や症状に合わせて処方されます。ここでは、うつ病によく用いられる「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」について、それぞれの特徴と適応を解説します。

漢方薬を使う上での大切なこと

漢方薬は、その人の体質「証(しょう)」に合わせて選ぶことが非常に重要です。同じ「うつ病」と診断されても、現れている症状や体格、体力などによって適する漢方薬は異なります。自己判断での服用は避け、必ず漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談し、適切な診断と処方を受けるようにしてください。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

特徴と適応:
半夏厚朴湯は、主に精神的なストレスが原因で起こる「気の滞り」を改善する漢方薬です。特に、喉や食道に何か詰まっているような異物感(ヒステリー球)、動悸、めまい、吐き気、不安感、不眠などの症状を伴う場合に用いられます。気分がふさぎ込み、憂鬱な状態が続き、喉に詰まった感じやゲップが多いといった症状がある方に適しています。比較的体力が中程度の方に処方されることが多いです。

期待される効果:
気の巡りを良くし、精神的な緊張を和らげることで、不安感や抑うつ気分、身体的な不快感を軽減します。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

特徴と適応:
加味逍遥散は、特に女性のうつ症状や精神的な不調によく使われる漢方薬です。月経前症候群(PMS)や更年期障害に伴うイライラ、不安、不眠、頭痛、肩こり、のぼせ、冷え症といった多岐にわたる症状を持つ方に適しています。ストレスによる気の滞りだけでなく、「血(けつ)」の巡りも改善し、精神的な不安定さを和らげる作用があります。比較的体力がなく、繊細な体質の方に処方される傾向があります。

期待される効果:
ストレスによって乱れた自律神経のバランスを整え、精神的な動揺を落ち着かせ、身体的な不調も合わせて改善します。

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

特徴と適応:
柴胡加竜骨牡蠣湯は、比較的体力があり、精神的な興奮やイライラが強く、不眠、動悸、不安感、神経過敏などの症状を伴ううつ病や神経症に用いられる漢方薬です。胸脇苦満(きょうきょうくまん:肋骨の下あたりが張って苦しい感じ)や、腹部の動悸があることも特徴とされます。精神的な不安定さが身体症状として現れやすいタイプに適しています。

期待される効果:
精神的な高ぶりを鎮め、不安やイライラを抑え、不眠を改善することで、心身の安定を図ります。

漢方薬でうつ病を改善するために

漢方薬は、即効性があるというよりも、体質から根本的に改善していくことを目指すものです。そのため、効果を実感するまでに時間がかかる場合もあります。服用を続ける中で、体調の変化や症状の改善が見られない場合は、再度医師や薬剤師に相談し、処方を見直すことが大切です。

また、漢方薬はあくまで治療の選択肢の一つであり、必要に応じて西洋医学的な治療(薬物療法や精神療法など)との併用も検討されます。ご自身の状態をしっかり把握し、専門家と相談しながら、最適な治療法を見つけることが、うつ病改善への道となるでしょう。

漢方薬 うつ病 改善する

神経症の場合、心に何か痛みとなる原因がありますが、真性のうつ病でははっきりとした原因がわかりません。漢方では症状をみるので、この2つを区別して考えません。次のような処方が考えられます。

  • 半夏厚朴湯 ( はんげこうぼくとう ) 気が鬱滞しているときに用いられる代表格の方剤です。 適応部位は広く、咽喉頭部(のど)から胸部にかけての異常感から、咽中炙肉感(咽喉頭異常感症、ヒステリー球)まで症状として見られる場合となります。 気持ちが落ち込み、人と会いたくない、自宅に閉じこもり傾向になる場合にも適しています。神経質で生真面目な人で、神経症や不安感、不眠症に使用します。胸部の圧迫感、動悸、めまい、のどが詰まったような感じがして声が出にくいなどの症状を伴うときに向いています。
  • 加味逍遥散 ( かみしょうようさん ) せっかちで気分の変動が多い人で、イライラや頭痛、便秘気味、不眠、肩こり、冷え症、更年期障害などのある女性に多く処方される漢方薬です。もともと女性の月経不順や生理痛など女性特有の症状のほか、冷え症や肩こりの改善効果が有名ですが、うつ病にも使われます。
  • 柴胡加竜骨牡蠣湯 ( さいこかりゅうこつぼれいとう ) 体格がよくて体力のある人に向いています。神経質で精神的に不安定な人に 比較的体力はあるが、神経質で、ささいなことが気になって、抑うつ、不安、イライラ、不眠などがあるような、精神的に不安定な人に用いられる薬です。みぞおちの辺りの張りを伴う様々な精神神経症状、精神不安、不眠、高血圧、のぼせ、イライラ、動悸などがある人に使用します。

 

うつ病治療に漢方薬を使う時の注意点

漢方では、身体のバランスの崩れを考えて、全体的にそのバランスを整えるものとして薬を選択します。ですから漢方薬では、バランスの崩れ方が同じであれば、それが腹痛だろうが頭痛だろうが同じ漢方薬になります。さらには漢方では、体質や身体の抵抗力なども含めて漢方薬を選んでいきます。

このように、漢方では体質・身体の抵抗力、身体のバランスの崩れ方などを「証」として診断していきます。それに基づいて生薬を選んで漢方薬を配合します。

病院で使う漢方はエキス剤といわれていて、代表的な生薬の配合ごとに名前をつけられて商品となっています。それぞれの漢方薬によって、どの症状や病気に効果があるのかが知られています。またその漢方薬が、どのような体質の方に向いているのかもわかります。

軽症うつ病で使われる漢方薬

軽症のうつ病に対して漢方薬を用いることは、心身のバランスを整え、症状の緩和を目指す上で有効な選択肢の一つです。漢方薬は、西洋医学的な診断名にとらわれず、個々の体質や現れている症状(「証」と呼びます)に基づいて処方されるのが特徴です。

軽症のうつ病でよく使われる漢方薬をいくつかご紹介しますが、漢方薬は必ず専門の医師や薬剤師に相談し、ご自身の体質や症状に合ったものを処方してもらうことが非常に大切です。 自己判断での服用は避けましょう。

軽症うつ病でよく使われる漢方薬

軽症うつ病の症状は、気分の落ち込みだけでなく、身体的な不調や自律神経の乱れを伴うことが多いです。そのため、以下のような漢方薬が用いられることがあります。

1. 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

  • 特徴: 精神的なストレスが原因で、喉や食道に何か詰まったような異物感(ヒステリー球)、動悸、めまい、吐き気、不安感、不眠などの症状がある場合に用いられます。気分がふさぎ込み、憂鬱な状態が続き、ゲップが多いといった方によく処方されます。
  • 適している人: 比較的体力が中程度で、繊細な方。ストレスを感じやすい方。

2. 加味逍遙散(かみしょうようさん)

  • 特徴: 特に女性のうつ症状や精神的な不調によく使われます。イライラ、不安感、不眠、頭痛、肩こり、のぼせ、冷え症など、月経前症候群(PMS)や更年期障害に伴う症状を伴う場合に効果的とされます。ストレスによる気の滞りや血の巡りの悪さを改善します。
  • 適している人: 比較的体力がなく、神経質で冷えやすい方。ストレスを感じると身体症状が出やすい方。

3. 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

  • 特徴: 比較的体力があり、精神的な興奮やイライラが強く、不眠、動悸、不安感、神経過敏などの症状を伴う場合に用いられます。胸のあたりが張って苦しい感じ(胸脇苦満)や、お腹の動悸があることも特徴です。
  • 適している人: 精神的に不安定で、怒りっぽく、不安感が強い方。興奮しやすい方。

4. 香蘇散(こうそさん)

  • 特徴: 比較的体力がなく、神経が過敏で、ちょっとしたことで気分が落ち込みやすい場合に用いられます。ストレスによる軽い頭痛や微熱、肩こりなどの風邪に似た症状を伴うこともあります。体を温め、精神的な緊張を和らげる作用があります。
  • 適している人: 虚弱体質で、ストレスに弱く、気分がふさぎやすい方。

漢方薬を服用する上での注意点

  • 専門家への相談: 上記はあくまで一般的な例であり、ご自身の症状や体質に合わない漢方薬を服用すると、効果がないばかりか、副作用が出る可能性もあります。必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、適切な診断と処方を受けましょう。
  • 継続的な服用: 漢方薬は、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。焦らず、指示された期間は継続して服用することが大切です。
  • 体質や症状の変化: 服用中に体調の変化や症状の改善が見られない場合は、再度専門家に相談し、処方を見直してもらいましょう。
  • 西洋薬との併用: すでに西洋薬を服用している場合は、必ずその旨を医師や薬剤師に伝えましょう。薬の飲み合わせによって、予期せぬ影響が出ることがあります。

軽症のうつ病であっても、放置せずに適切な対処をすることが大切です。漢方薬が、心身のバランスを取り戻し、前向きな気持ちで過ごせるようになるための一助となれば幸いです。

心の病気

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