胃下垂・胃アトニー

胃下垂(いかすい)は、胃の位置が通常よりも下がってしまっている状態をいいます。胃下垂だけの状態だと自覚症状はほとんど無く、病気ではありません。ただし、この胃下垂が原因で胃の筋肉がたるんでしまい、胃のはたらきが悪くなって不快な症状があらわれると胃アトニーとなります。

胃下垂の人は、胃が骨盤よりも下がっているといわれますが、病気ではないので特に治療の必要はありません。原因はホルモンの不調や、虚弱体質、腹部の脂肪不足などが考えられていて、一般的に、やせている女性に多くみられるといいます。また、過労やストレス、暴飲暴食などが引き金となって胃のはたらきが弱くなり、胃アトニーの症状があらわれやすくなります。胃アトニーになると、胃の痛みやむかつき、膨満感、食欲不振、吐き気、げっぷ、精神疲労などの症状があらわれます。

胃下垂・胃アトニーでは、胃の運動が弱くなってしまうために消化不良が起こります。消化のあと、腸へ内容物を送る力も弱まります。ですから、胃がもたれたり、胸につかえる感じがしたり、食欲が無かったりするのです。さらに、神経症状として、不安感やめまい、冷え、肩こりなどを伴うこともあります。

対処法としては、食事は1回の量を少なくし1日に4~5回以上に分けて食べる、腹筋運動などで体を鍛える、規則正しい生活を送り精神的にリラックスする、などがあります。

漢方薬で胃下垂・胃アトニーを改善する

胃下垂や胃アトニーは、先にも記したように体の細い人に多く、がっちりした体格の人にはあまりみられません。さらに、神経質で無力性体質の人に多いようです。

食後しばらく、胃が振動するとポチャポチャというような音がするという特徴があり、漢方では胃内停水(いないていすい)といわれる水毒の症状だとされていて、漢方薬の処方では次のようなものがあります。

  • 六君子湯(りっくんしとう)
    体力があまり無くて、貧血、胃弱、食欲不振、消化不良、下痢などの症状があるときに用います。神経症状の改善にも効果的です。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
    みぞおちからおへそにかけて動きが感じられるときに用います。食欲不振や、胃がポチャポチャ鳴る停水のあるとき、めまいやのぼせ、立ちくらみなどにも良いです。
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
    小児の虚弱体質に用いられる薬です。疲れやすく顔色が悪い、食欲が無い、腹痛を起こしやすいなど、体力が無く胃腸の弱い人、神経質になっている人に使います。