3つの神経伝達物質の働き
最も多いのは興奮系の神経伝達物質
ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、グルタミン酸など
興奮系、抑制系、調整系、それぞれの神経伝達物質にはどのようなものがあり、実際にどんな働きをしているのでしょうか。
3つのうちもっとも種類が多いのは、興奮系の神経伝達物質で、ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、グルタミン酸などです。
興奮系がたくさんあるのには理由があります。人間も生物の一種だが、自然のなかにいる生物は、いつ外敵に襲われるかわからないという、危険と背中合わせの状態で生きています。常に生命の危険にさらされているということです。そのなかで生き抜くには、攻撃と防御にかかわる興奮系の神経伝信連物質が不可欠になります。興奮系がたくさんあるのは、まさに生存のためなのです。
興奮系の神経伝達物質が適度に分泌されていると、気分がよく、ほどよい緊張感があります。また、元気もあって、やる気にも満ちた状態です。もちろん、それぞれの物質によって担当分野が決まっています。
たとえば、仕事に集中しているときにはノルアドレナリンが、なにかを達成して喜びと充実感を味わっているときにはドーパミンが…というようにです。
この興奮系の神経伝達物質が不足すると、元気がなくなり、気分が落ち込みます。抑制系の神経伝達物質の代表がGABA (γ-アミノ酪酸)です。抑制系はほかにいくつかありますが、G ABAは圧倒的に多く、脳のなかの神経細胞の30% をこのGABA神経が占めています。
GABAの働きは、脳が興奮した際のブレーキ役でアクセル役である興奮系とのバランスをとっています。不足すれば、興奮が鎮まらず、時にけいれんを起こしたりすることもあります。
調整系の神経伝達物質は多くありません。その代表的な物質がセロトニン。セロトニンは通常、興奮系の神経伝達物質に分類されるのですが、行動に対しては、それを抑え鎮めるなど、抑制的に働きます。セロトニンの不足は抑うつ感情をもたらします。
脳内神経伝達物質の種類
主に3つがバランスを調整しあっています。
興奮系
- ドーパミン
- 快感
- 胸酔感
- 情緒
- 認識
- 攻撃
- 創造性
- 運動機能
- グルタミン酸
- 記憶
- 神経細胞の興奮
- アセチルコリン
- 学習
- 記憶
- 睡眠
- ノルアドレナリン
- 目覚め
- 集中力
- 積極性
- 興奮
- 攻撃
- 不安
- 恐怖
- 痛みの軽減
抑制系
- GABA
- 脳の興奮を抑制
調整系
- セロトニン
- 行動は抑え、気分を保つ