頭痛薬の常用は危険
頭痛薬の常用は危険です。頭痛による外来受診者数は年々増加傾向です。
「薬物乱用頭痛」で症状が悪化する可能性もあるので頭痛薬の乱用は危険です。
たかが頭痛薬と気軽に常用している
頭痛は、外来を受診する人の中でも訴える症状のトップ3に入るくらいポピュラーなものですが、ポピュラーすぎるあまり、非常に安易に鎮痛剤を服用している人が多いのが特徴です。
薬物乱用頭痛で頭痛症状が悪化する方も増えています。
ほとんどの慢性頭痛は命に別状ありませんが、安易に薬にたよってしまうのは、あまり得策ではないと思います。もちろん、薬で頭痛を抑えることは苦痛を取るという意味では非常に有効な手段だと思いますが、根本的な治療も並行して行なうことが重要です。
たとえば、Iさんは50歳代の男性で、役所勤めの公務員。仕事にも趣味にも生きがいを持っていて、人柄もよさそうで、ストレスとはあまり縁のなさそうな生き方をしていらっしやるように見えます。
ところが、30年来の頭痛持ちで、頭痛が常態化していて、頭痛薬の服用が常習になっているのでした。近所の開業医で投薬された頭痛薬と、市販の頭痛薬を常に携帯し、毎日数時間ごとに服薬するほどであったようです。
そのIさんが、役所の健診で初期の胃がんを指摘されて、某県立病院で手術を受け、相談に見えました。相談内容は手術後の生活習慣についてでしたが、私は頭痛薬の服薬状況を聞くに及び、何はさておき、服薬を見直したほうがいいとアドバイスしました。
以前に、何人か、頭痛薬の常用からがんになったのではないかと思われる方々の相談を受けたことを思い出し、断定はできませんが、Ⅰさんの場合も、おそらく頭痛薬の常用が交感神経を刺激し、心身に慢性的なストレス負荷をかけたことが原因ではないかと考えたからなのです。
もしも今後も頭痛薬の常用を続けていくと、きっと再発や、あるいは新たながんが生じる確率が有意に高まることと予想されます。
ちなみにⅠさんの頭痛は、前かがみの姿勢をなおす、ツボ刺激を行なう、易筋功を行なうなどの方法で次第に軽減していきました。
易筋功は、インドからもたらされたと伝えられる健康法。ゆっくりとした腹式呼吸による深呼吸と、それに合わせて行う発声と簡単な運動によって、内臓を鍛え、体調をより良く作り上げる効能があると言われています
後に、少林寺の僧侶が健身のために武術を修練して質を高め、最終的に武術の鍛錬方法として到達し、清代には、易筋経を手に入れるため、武術の各流派は互いに戦って殺しあったとする説もあります。
命にかかわる頭痛は1万分の1くらいの確率とも言われていて、非常に稀であることは事実なのですが、頭痛のトリアージはしっかりと行なう必要があります。しかしそれはさほど難しいものではありません。大事な点は、これまでに経験したことのないタイプの頭痛かどうかということなのです。
命に関わる頭痛もある
30歳代後半の男性Jさんは建設作業員。この数年来、慢性の頭痛で某県立医大にかかっていたのですが、ある土曜日にいつもとは異なるタイプの頭痛に見舞われ、同医大に連絡しました。
電話での返答は、「Jさんの頭痛は命に別状はないので服薬で様子を見てください」というものでした。
翌日の日曜日も頭痛がおさまらないので再度医大に電話連絡しても、結局は様子を見てくMださいの一点張りで困っていたようです。「いつもと異なる頭痛」の一言で、即座に某私立医大を紹介し、救急搬送。Jさんは脳
動脈癌破裂によるくも膜下出血と判明し、即日緊急手術となり、その後、神経症状もなく完治しました。
市販の頭痛薬に頼り切りの人は「薬物乱用頭痛」で症状が悪化する可能性もには、最近、特に患者さんが急増しているのが薬物乱用頭痛です。これは、市販薬や病医院で処方された薬を必要以上に連続して服用した結果、もともと持っていた頭痛を感化させ薬を手放せなくなってしまうタイプをいいます。
薬物乱用頭痛は、まず頭が痛くなって鎮痛薬を服用するところから始まります。薬が切れると南痛が再発するので、また鎮痛薬で南痛を抑えようとします。これを何年もくり返すうちに、痛みに敏感になり、薬が効く時間も短縮するために服用回数が増えていきます。
こうして薬物乱用の悪循環から抜け出せなくなってしまうのです。薬物乱用頭痛になると多くの場合は、朝早くから顔が痛みだすため、目が覚めたらすぐ鎮痛薬を飲むようになります。朝昼晩に鎮痛薬を飲むという人も少なくありません。
頭痛薬の副作用
市販の頭痛薬、解熱鎮痛剤の代表的な副作用として食欲不振、胃の不快感や胃痛、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状があります。
空腹時に服用すると、消化器症状を起こすリスクが高まります。 そのため、空腹時は避け、食後(胃に何か入っている状態)に服用するようにしましょう。
代表的な副作用として、消化器症状があります。症状としては、食欲不振、胃もたれ、腹痛などがあります。
ひどい場合には、胃腸に激痛が起こり、胃炎、胃潰瘍などの消化性潰瘍を引き起こすこともあります。
大きな病気が原因で引き起こされる頭痛について
- くも膜下出血
脳を保護する3層の膜(外側から硬膜・くも膜・軟膜)のうち、くも膜と軟膜の間にある、「くも膜下腔」という隙間に出血が起こった状態をです。
脳の動脈の分岐部にできた脳動脈瘤というこぶの破裂によって発症することが最も多く、他には脳動静脈奇形の破裂や頭部外傷などがきっかけとなる場合があります。
- 脳挫傷
脳挫傷は、事故などで頭部に直接的な強い衝撃が加わったことにより、脳の外側だけではなく、脳そのものが損傷した状態のことです。
頭部への衝撃で意識障害が起きた脳振とうは脳の構造には異常がない状態ですが、脳挫傷は脳の構造が損傷している状態のため、より深刻な状態です。
- 脳卒中
- 「脳梗塞」(脳の血管が詰まる、細くなる)、「脳出血」(脳内の動脈が破れて出血する)、「くも膜下出血」(脳表面の大きな血管にできた動脈瘤というこぶが破れてくも膜の下に出血する)などに代表される、脳の血管が破れたり詰まったりする病気の総称です。
- 低ナトリウム血症
低ナトリウム血症は電解質異常の一つで、血液中のナトリウムの濃度が低下してしまう病気のことです。血液中のナトリウム濃度を測定し、136mEq/L未満であれば低ナトリウム血症と呼びます。
ナトリウムは人体に必要なミネラルの一種で、細胞を取り巻く細胞外液の浸透圧を調整する働きや、筋肉や神経の働きを正常に保つ働きがあり、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。