コレステロール値とメタボ

コレステロールの値を気にしている方は年々増加しています。

コレステロールて?

そんな方にはまず「コレステロールの値ですが、どれくらいの値が一番長生きできるかご存じですか? 」と質問します。今までに何百人という方に聞いていますが正しい答えは数人だけでした。

ちなみに日本動脈硬化学会は、治療が必要なコレステロールの値を220mg/dl以上としています。

「コレステロールって、ほんとうに悪者ですか?」と。この質問に対しては9割以上の方が、「良いコレステロールも悪いコレステロールも両方あります」と答えられます。さて、みなさんの答えはいかがでしょうか?

55歳の金融会社に勤める男性Aさんですが、この1年でだんだんと体重が減ってきて、風邪もひきやすくなってきました。心配になったAさんは、毎年年受けている健診結果をたずさえてきました。今年の健診結果を見る限り、特に異常を示す項目は何もなかったのですが、総コレステロール(TCHO)の130mg/dlという異常に低い値に、違和感を感じました。さらに、健診結果表の「治療中」の項目に印字してあった「高脂血症治療中」という文言も気になりました。

「もしかして?」と、去年の健診結果を聞いてみました。すると、去年の健診結果では総コレステロールの億は230mg/dlで、値の横のほうに、異常を意味する「※」マークが印字してあるではありませんか。もちろん「治療中」の項目には何も記載はありません。

さらに詳しく聞いてみると、去年の健診でコレステロールの異常を指摘され、すぐに医者にかかるように言われたそうです。受診した医者には、「コレステロールが高いと動脈硬化になって、心筋梗塞になりますよ」と脅され、「最近はとてもいい薬があるのでのんでみましょう」と「スタチン剤」を処方されたのです。しかもその医者は、ご丁寧にも「コレステロールの値は低ければ低いほどいいんですよ」と念を押したようです。

脂質異常症(高脂血症)の治療に使われる薬について

もともと生真面目な性格のAさん。今まで病気1つしたことがないのに、かかったお医者さんから「心筋梗塞」などといきなり脅かされて、かなりショックだったようです。薬を処方されたその日から今日まで約1年間、Aさんは1日も欠かさずしっかりと服薬してきました。しかも今年の健診結果の130mg/dlという値にも非常に達成感を覚えていらっしやるようでした。

実は、コレステロールが220~280mg/dlの範囲の人が一番長生きしています。ちなみに、これを示すデータは山ほど発表されています。

「NIPPON研究」ですが、この研究では約1万人を対象に、血糖値や血圧やコレステロールの値を調べ、そのあと14年間どのような病気にかかったか、あるいはどのような病気で亡くなったかを詳細に調べています。コレステロールの値では14年後、男女とも、240~260mg/dlの人が、一番死亡率が低くなっています。

ただし、Aさんを脅した医者も言っていますが、コレステロールが高くなればなるほど、心筋梗塞だけはごくわずかですが発症しやすくなるのは確かです。しかし、すべてにおける死亡率や、あるいはがんの死亡率は、圧倒的にコレステロールが低いほど、高くなるのも事実なのです。

したがって、常識的に考えてみてどちらが得かという話になればAさんはスタチン剤をやめるべきではないでしょうか。

コレステロールは細胞の膜の材料になったり、ホルモンの材料になつたりと、非常に大切なものなのです。悪者呼ばわりなど、お門違いもいいところだと思います。

コレステロールとは?

にもかかわらずスタチン剤をのめば、もちろん大切なコレステロールが不足してしまいます。また、コレステロールが作られるときに一緒にできるはずのコエンザイムQ10もできにくくなります。ココエンザイムQ10は、生体活動のエネルギー源を作るために必要な物一質で、非常に重要な働きを担っています。

コレステロールが不足しますと、細胞そのものが弱体化しますので、当然、生体の自己治癒力(防衛力)は著明に低下します。つまりスタチン剤によって、生体の維持が危うくなるということなのです。したがって、あえて悪玉と言うのであれば、コレステロールよりもむしろスタチン剤を悪玉と言うのが、正しい言葉の使い方になるかと思います。

肥満解消のポイント

女性は、老いも若きも関係なく、よく減量(ダイエット)についての問い合わせがほとんどです。

それにしても、世の中にはいろいろな減量方法があるものです。よくもこれだけ次から次へと考えつくものだと、個人的には感心しきりです。しかし、それだけクダイエット=減量はおいしいビジネスなんだと言えるでしょう。

diet maniaでは様々なダイエット方法が紹介されています。数の多さに驚きます。

同じものばかりを食べ続けたり、炭水化物を極端に減らしたりすると、確かに体重は減ります。しかし、よく考えてほしいと思います。同じものばかりを食べると、いったいどうなるのか、と。

同じものばかりを食べると、当然のことながら栄養が偏ってしまい、自己治癒力が低下します。単品食品ダイエットは昔からよくある手法で、たとえば有名なのは、「リンゴダイエット」「こんにゃくダイエット」「キャベツダイエット」「バナナダイエット」など、例を挙げればきりがありません。しかし、同じものばかりを食べるとすぐにおなかがいっぱいになつてしまい、摂食量が低下します。また栄養が偏ってしまうことで、体重は減少します。何も画期的な方法ではありません。極めて当たり前の話です。

炭水化物を極端に減らすとどうなるのでしょうか?炭永化物はもちろんエネルギーの源ですので、当然の結果としてエネルギー不足に陥ります。そのため、炭水化物のかわりにタンパク質にエネルギー源としての動員がかかります。つまり炭水化物(糖類)がエネルギー源として利用できないので、タンパク質( アミノ酸) からわざわざ糖(炭水化物) を作ってエネルギー源を確保しょうとするのです。もちろん生体は、タンパク質をほとんど筋肉として備蓄しているわけですから、タンパク質がエネルギー源として必要となれば、筋肉が解けていき、もちろん自己治癒力も著明に低下していきます。

いずれの手法も体調を損ね、その結果として体重が減っているのです。言やい換えれば、命がけのダイエットなのです。早い話が、病気になって痩せてくるという当たり前の原理なのです。

それでは、健康を維持しながら減量(ダイエット)する方法はないのでしょうか。もちろん方法はありますが、結局は栄養素を減らさないで、カロリlを減らすしか方法はありません。つまり食べる量と運動のバランスを調整するしか方法はないのです。

ダイエットにはいくぼくかの努力が必要ですが、ちょっとしたポイントをはずさなければ、それほどの決断も覚悟も必要ではありません。

ちなみに気休めにもならないかもしれませんが、太りやすいという体質は、生物学的にはより進化しているということなのです。いつも飢餓にさらされていた人類にとっては、太りやすいということは究極の進化体、つまり超好燃費体なのです。

また、もう1つ重要なことは、少し太り気味の方が本当は長生きなのです。ただ、行きかう人が思わず振り向くくらいの体格である場合にはその限りではありません。

体重を減らすのに必要なアイテムは体重計です。ただそれに尽きると思います。少し高くつきますが、体脂肪も測れるものであればなおいいです。そしてもちろん、体重計に乗るくせをつけることです。あとはその値とにらめっこしながら、向こう1日や2 日間食を減らすか、アルコールの量を減らすか、あるいは脂っこい物、甘い物を減らすか、はたまた、エレベーターやエスカレータ一に乗らないか、自問してみることに尽きます。5キロを超えると少し努力が要りますが、1~2 キロであれば、ほんのちょっとした心がけだけで、誰でも容易に減量できます。

少し面倒なことを1ヶ月もやれば、ほぼ間違いなく、少なくとも2~3 キロは減量できるはずです。2~3ヶ月続けることができれば、数キロはダイつかエットできます。そのコツを掴めば、自信もつくかと思います。

メタボの本当のところ

みなさんもよくご存じのメタポリックシンドロームは、「医者がかかわってもかかわらなくても治癒する病気」の代表選手です。それもそのはず、肥満に加えて、高血圧、高脂血症、糖尿病のうち、2つ以上を併発するとメタポリックシンドローム(略してメタボ)と呼ぶのです。

昨今は商品に「メタボ…」の文字を入れると売れ行きが伸びるとか。まことに由々しき世の中だと思われる方も少なくないに違いありません。巷にはメタボの専門医も増えているようで、世も末かなと呆れるばかりです。

メタポリックシンドロームを二言で言うと、ただの食べすぎ、運動不足で、それ以上でもそれ以下でもありません。したがって食べすぎをやめ、運動をすれば治ります。

診察では、「ご自分で治す気さえあれば、食べすぎに注意して、できるだけ体を動かすことで治ります。としか言いようがありません。

メタボは告知されたとしても、全くあわてる必要はありません。今日、明日に急いで対処しなくても、手遅れになることもなければ、死に直結することももちろんありません。あえて問題を挙げるとすれば、「自分の今までの悪い生活習慣を、指摘された後も改善せずに続けたままでいると、場合によっては命に別状があることもある」という程度のことです。それは、制止を振り切り、踏切に飛び込むような無謀な行為ですから、ふつうの方であれば、医者の世話になることもなく、十分に元に戻れるものなのです。

それにしても、このような異常なメタボブームに火をつけた主犯は、なんといっても医者ということになるでしょう。なるほど代謝やホルモンというのは、学問的には非常に面白い分野です。生体内で起こっている複雑多岐な生命現象を、分子生物学的に解析し、化学反応を明確に実験で再現できるのも、この分野の特徴です。ただ、みごとに再現できる実験結果とはいえ、それは生体内で本当に起こっているる出来事のほんの1つの例を、しかもありえない条件に設定した上での架空の話でもあります。いずれにしても、β古学問的に面白いということと、困っている患者さんを助けるということには、大きな隔たりがあります。

メタボは未病の1つと言い換えることができます。このメタボブームで、国民が未病に関心を持つきっかけになれば、それは好ましいことでしょう。未病は自分で治す! という社会的なムーブメントを巻き起こすことができれば、メタボブームも、うまく軟着陸できるかもしれません。

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