対処療法でなく根本治療を

免疫力を上げるという考え方

病気に負けないしっかりとした体をつくりあげる

これまでのすべての事例に共通していることは、自己治癒力を高め、根本的に治すことを主眼においている点です。そして、具体的な方法がどうであれ、この根本治療にこだわることが、慢性疾患の治療の必須条件だと私は考えるのです。しかも実際、ほとんどのケースは自己治癒力を高める手立てを個々に考えることによって、十分に治りうるのです。

もっとも、薬を否定しているわけではありません。どうしても必要なときは、もちろん服用期間は限定しますが、実際に薬を勧める場合もかなりあります。特に傷みや吐き気などの耐えがたい症状に対しては積極的に緩和すべきでしょう。

慢性疾患の原因は1通りではありません。いろいろな原因が心身への負荷となり、やがて発症していくのが慢性疾患の特徴です。たとえば高血圧にしても、肥満、食事の偏り、過労、人間関係のもつれ…と、いろいろと多岐にわたる原因がからみ合い、負荷になって発症してくると考えられます。したがって、1通りでない原因で発症した高血圧を、降圧剤というたった1通りの手段で治してやろうという発想そのものが、根本的に間違っています。

まずは根本治療を優先し、少し時間を割いてその人に見合う手段を考えていくことこそが、本来の医師としての仕事だと考えています。単に病名だけを根拠に、誰に対しても同じ薬を処方するだけが医者の職務であるとすれば、少なくとも私にとっては、あまりやりたい仕事ではなくなります。それこそ機械にでもやらせれば、もっと正確に職務を遂行するのではないでしょうか。

根本治療を優先させたうえで、それでも、その効果が現れるまでの時間稼ぎが必要な場合には、薬をはじめとする対症療法が本領を発揮するのではないでしょうか。

自身の経験から照らし合わせて述べさせてもらうとすれば、外来受診する約9割の人たちは、根本治療を優先させれば、それだけで治ると言っていいと思います。もちろん薬を用いることが必要な方もいらっしやると思いますが、それはほとんどの場合が、期間を限定したものであるはずです。

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