便秘は万病の元

現代人はいろんな意味で便秘気味

便秘の定義とは

「便秘の定義は?」とあらためて聞かれるとなかなか難しいのですが、便秘を訴え、便秘に悩んでいる方は非常に多いのが現状です。1日に1回以上排便がなくても、それ自体は心配することはないでしょうが、やはり不快な症状が伴えば、それは問題でしょう。

25歳の女性Aさんは、オフィスに勤める会社員ですが、この数年ずっと便秘に悩まされています。最近は薬を服用しても排便があまりないので困っています。

ヨーデルS 、プルゼニド、ラキソベロンと数多くの緩下剤を服用しているにもかかわらず、便秘が改善しないとのこと。いっぽう、生活習慣に関しても聞いてみましたが、食は不規則で外食が多く、野菜や果物、発酵食品の摂取量が極端に少ないことがわかりました。

まずは、たかが便秘だという考えを変えてもらわなければいけません。便秘によって腸内環境が非常に劣悪になっていて、ひいては免疫力(自己治癒力)を低下させることにもつながり、場合によってはさまざまな病気の元になったり、そしてなによりも肌の老化が早まったりします。また、安易に薬剤に頼りすぎると、次第に薬も効きにくくなってしまいます。まさに今、Fさんはそのような状態になりかけていると告げました。「便秘は意外に万病の元なんですね」という彼女の言葉が、彼女の行動の変容を予言するものだったのでしょうか、さっそく生活習慣、特に食生瀧や改車を心かけるようになり、2週間も経つと下剤を服用しなくとも排便がスムーズになったようです。また、数年来ずっと続いていたいらいら感も、気がついたらなくなっていたということでした。

Aさんのことで思い出したのがBさんのケースですが、Bさんは27歳の非常に仕事熱心な看護師です。完璧主義のBさんは、いつも自分に不全感を持っています。そのせいか、精神安定剤を常用していて、なかなか離脱ができない状況でした。そのBさんに便秘のことで相談を受け、便秘を解消するとと安定剤も要らなくなるかもしれないから、発酵食品や乳酸菌を多めに摂ってみたらとアドバイスしたところ、1ヶ月ほどして再会した際に、この間のアドバイスのおかげで、気分も晴れ、もちろん便秘も解消し、念願の安定剤からも離脱できました。と、とても嬉しそうでした。

最近は、腸の異常を訴える方が多いので、腸管(消化管)について少し触れておきます。

腸の働きやイメージ

みなさんは腸に対してどのような先入観、イメージをお持ちでしょうか? 卯単なる口から肛門までのチューブ(管)というイメージでしょうか? もちろん食物を消化、吸収、排泄する器官であるという知識はどなたもお持ちだと思いますが、おそらくその程度ではないでしょうか。

おそらく間違っても「腸はスゴイ! 」というイメージはお持ちではないと思います。

腸が自立して機能しているということは実にすごいことなのです。なぜなら、外界から入ってくる(侵入してくる)すべての物質を体内に取り入れるべきか、排除すべきか瞬時に判断して機能しているわけなのですから。もちろん私たちの生命は、外界から物質を取り入れて維持できているわけですから、何を取り入れ、何を排除するかという判断、すなわちトリアージは生命の根幹にかかわる極めて重要な問題です。このトリアージを間違えば生命にもかかわってきます。そのトリアージの役割を一手に引き受けて機能してのが腸ということになるのです

なさんは意外に思われるかもしれませんが、実は花粉症、気管支ぜん息、アトピーなどのアレルギー疾患のなりやすさは、腸の環境に大きく左右されることが明らかになっています。また、まだ明快に証明されてはいませんが、がんをはじめとする慢性疾患のほとんども、おそらくは腸の環境のいかんが、その発病率や治癒率に大きく影響すると思われます。

腸管内には100種類以上もの微生物が棲んでいるのです。数にして100兆個、量にして1キロにもなりますが、こんなにも多くの微生物が私たちと共生しているのには、それなりの意味がきっとあるはずでしょうし、彼らの動静が私たちの心身に深く影響を及ぼしているに違いありません。したがって安易に抗生物質などで腸管をきれいにしてはいけないのです。抗生物質によってほとんどの腸内細菌は死滅してしまいますので、心身へ及ぼす悪影響は少なくないはずです。

腸の調子は、まさに全身のバロメーターだと言っても過言ではないと、今では思っています。まさに腸能力に最敬礼です。

ただ最近、多くの方の腸の調子は、あまりよくないというのが現状です。脂肪の摂りすぎ、動物性タンパク質の摂りすぎ、野菜・果物の摂取不足、薬ののみすぎ、発酵食品の摂取低下が、腸の機能を低下させている主な要因となっています。

それは、アレルギー、がんをはじめとして、多くの慢性疾患が増えている現状ともみごとに符合します。

このスゴイ腸の機能を適正に保つためにはもちろん食習慣を是正することが最優先なのですが、安易に薬剤に頼るよりは、プロパイオティクスやプレバイオティクスをうまく活用することも、非常に賢明な考えだと思います。

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